56 歳の男性。膵腫瘍の精査のため来院した。人間ドックの腹部超音波検査で膵腫瘍を指摘され受診した。高血圧、糖尿病で自宅近くの診療所に通院中である。手術歴はない。
身長 165 cm、 体重 60 kg。 体温 36.3 ℃。 脈拍 72/分、 整。 血圧120/70 mHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸部リンパ節を触知しない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。腸雑音に異常を認めない。
血液所見:赤血球 508 万、Hb 14.6 g/dL、Ht 44 %、白血球 5,600、血小板 32 万。血液生化学所見: 総蛋白 7.5 g/dL、 アルブミン 4.0 g/dL、 アミラーゼ 168 U/L(基準 37~160)、尿素窒素 22 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、AST 24 U/L、ALT 28 U/L、LD 172 U/L(基 準 120~245)、ALP 112 U/L(基 準 38~113)、γ-GT 48 U/L(基準 8 ~50)、HbA1c 6.2 %(基準 4.6~6.2)、CEA 4.8 ng/mL(基準 5 以下)、CA19-9 87 U/mL(基準 37 以下)。腹部造影 CT で膵体部に径 2cm の腫瘤とそれより尾側の膵管拡張を認めた。
この患者で膵腫瘍の精査のための病理検体採取が可能なのはどれか。 2 つ選べ。
a. 超音波内視鏡検査
b. 小腸バルーン内視鏡
c. 下部消化管内視鏡検査
d. 上部消化管内視鏡検査
e. 内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉
・超音波内視鏡検査は、内視鏡を用いて体内の画像を超音波で捉える方法であり、特に膵腫瘍の診断と病理検体の採取に非常に有効。超音波内視鏡検査による生検を通じて、直接腫瘍から病理検体を採取できます。
・内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)は胆管や膵管の病変を診断し、治療するために用いられる内視鏡的手技。膵管の拡張がある場合には、ERCPを通じて膵管内の病変を詳細に観察し、場合によっては細胞診や生検を行うことができる。