32 歳の男性。発熱を主訴に救急外来を受診した。東南アジア各地に合計 7 日間滞在した後に帰国し 2 日目である。現地滞在 6 日目から 39 ℃台の発熱と全身倦怠感とが出現していたが、入国時には一時的に解熱していたため空港検疫では申し出なかったという。帰国後も発熱が続き、受診前日から頻繁に嘔吐している。下痢はない。 四肢の筋肉痛を訴える。

意識は清明。 身長 172 cm、 体重 60 kg。 体温39.1 ℃。脈拍 112/分、整。血圧 92/52 mmHg。呼吸数 24/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔粘膜に点状出血を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は肝を右肋骨弓下に 4 cm 触知するが、脾は触知しない。

血液所見:赤血球 450 万、Hb 12.2 g/dL、Ht 60 %、白血球 2,000、血小板 8.0 万。血液生化学所見:総蛋白 6.5 g/dL、アルブミン 4.1 g/dL、総ビリルビン 0.8 mg/dL、直接ビリルビン 0.3 mg/dL、AST 122 U/L、ALT 112 U/L、LD 222 U/L(基準 120~245)、尿素窒素 30 mg/dL、クレアチニン 1.4 mg/dL。末梢血塗抹標本で赤血球に異常を認めない。

最も考えられる疾患はどれか。

a. エボラ出血熱

b. A 型肝炎

c. 腸チフス

d. デング熱

e. マラリア

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)