60 歳の女性。労作時息切れを主訴に来院した。15 年前から寒冷時に手指の蒼白化や腫脹を自覚していた。 9 か月前から両足部の冷感としびれ感が出現し、 6 か月前に右母趾尖に潰瘍が出現した。同じころから階段や坂道を昇る際の息切れを自覚するようになり、増悪したため受診した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴と飲酒歴はない。内服薬はない。
身長 153 cm、体重 51 kg。体温 36.4 ℃。脈拍92/分、整。血圧 124/92 mmHg。呼吸数 16/分。SpO₂ は測定不能。顔面や四肢に多発する斑状の毛細血管拡張を認める。両手指は腫脹し、顔面と両手指から手背に軽度の皮膚硬化を認める。両足趾部と足底にチアノーゼ、右母趾尖に潰瘍を認める。頸静脈の怒張を認めない。心音はⅡ音の亢進を認める。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に筋力低下を認めない。下腿に軽度の浮腫を認める。
血液所見:赤血球 420 万、Hb 11.6 g/dL、Ht 39 %、白血球5,500、 血小板 15 万、PT-INR 1.0(基準 0.9~1.1)、APTT 29.2 秒(基準対照32.2)、血漿フィブリノゲン 270 mg/dL(基準 186~355)、D ダイマー 0.6 μg/mL(基準 1.0 以下)。血液生化学所見:ALT 28 U/L、AST 32 U/L、LD 192 U/L(基準120~245)、CK 59 U/L(基準 30~140)、クレアチニン 1.0 mg/dL、尿酸5.8 mg/dL、脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉266 pg/mL(基準 18.4 以下)。CRP 0.2 mg/dL。胸部エックス線写真を別に示す。
息切れの原因として考えられるのはどれか。
a. 間質性肺炎
b. 肺高血圧症
c. 収縮性心膜炎
d. 慢性閉塞性肺疾患
e. 心アミロイドーシス