10 歳の男児。顔色不良を心配した母親に連れられて来院した。1 か月前から歩くときに息があがるようになり、最近顔色が悪いため受診した。生後 7 日目に腸回転異常症に対する開腹手術を受けた既往がある。手術では壊死した腸管を切除し、十二指腸球部から 40 cm の空腸と上行結腸を吻合した。1 歳時は在宅静脈栄養を行いながら外来で経過観察していたが、2 歳時には静脈栄養から離脱した。現在は家族と同じ食事を摂取している。
身長 121 cm(- 1.8 SD)、体重 19 kg(- 1.7 SD)。体温 36.5 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 106/50 mmHg。呼吸数 15/分、SpO₂ 99 %(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。
血液所見:赤血球 148万、Hb 6.0 g/dL、Ht 17 %、MCV 111 fL、MCH 40.6 pg、MCHC 36.5 %、白血球5,600(好中球 51 %、リンパ球 46 %、単球 1 %、好酸球 2 %)、血小板 21 万、出血時間 3 分(基準 7 分以下)、PT-INR 1.0(基準 0.9~1.1)、APTT 30 秒(基準対照32.2)。血液生化学所見:蛋白 5.6 g/dL、アルブミン 3.5 g/dL、総ビリルビン1.0 mg/dL、直接ビリルビン 0.1 mg/dL、AST 35 U/L、ALT 32 U/L、尿素窒素4.1 mg/dL、クレアチニン 0.2 mg/dL、Na 138 mEq/L、K 3.7 mEq/L、Cl 107 mEq/L。CRP 0.2 mg/dL。
補うべきビタミンはどれか。
a. ビタミンA
b. ビタミンC
c. ビタミンB₁
d. ビタミンB₁₂
e. ビタミンK
MCVが高く、MCHも高いため、巨赤芽球性貧血が疑われる。
巨赤芽球性貧血の原因として一般的なのはビタミンB12または葉酸の欠乏であるが、手術歴から考えると、ビタミンB12の吸収障害が疑われる。ビタミンB12は主に回腸末端で吸収されるため、手術で腸管が切除されているこの男児はビタミンB12の欠乏になりやすい。
したがって、補うべきビタミンB₁₂である。