77 歳の女性。突然の胸背部痛と疲労感を主訴に救急車で搬入された。
現病歴 : 本日未明に突然の胸背部痛で目覚めて 30 分ほどベッドに横になっていたが、身の置き所のない疲労感が増悪するため救急車を要請した。
既往歴 : 糖尿病、高血圧症で内服加療中。
生活歴 : 80 歳の夫と 2 人暮らし。問題なく家事をこなしていた。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴 : 特記すべきことはない。
現 症 : 意識は清明。身長 150 cm、体重 51 kg。体温 36.1 ℃。心拍数 96/分、整。上肢血圧 102/70 mmHg、下肢血圧 114/60 mmHg。呼吸数 15/分。SpO₂ 98 %(room air)。呼吸音に異常を認めない。胸骨左縁第 3 肋間を最強点とする Levine2/6 の拡張期雑音を聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。頸部に痛みはない。両肩の痛みを訴えるが、圧痛と可動域制限を認めない。
検査所見 : 血液所見:赤血球 391 万、Hb 11.9 g/dL、Ht 37 %、白血球 8,600、血小板 16 万。血液生化学所見:総蛋白 6.4 g/dL、アルブミン 3.0 g/dL、総ビリルビン 1.7 mg/dL、AST 98 U/L、ALT 134 U/L、LD 263 U/L(基準 124~222)、CK 74 U/L(基準 41~153)、尿素窒素 24 mg/dL、クレアチニン 0.6 mg/dL、Na139 mEq/L、K 4.8 mEq/L、Cl 105 mEq/L。CRP 6.8 mg/dL。

心電図、胸椎エックス線写真及び胸部単純 CTを別に示す。

最も疑われる疾患はどれか。

a. 緊張性気胸

b. 急性心筋梗塞

c. 胸椎圧迫骨折

d. 急性大動脈解離

e. 急性僧帽弁閉鎖不全症

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諸検査の後、痛みはやや改善したが疲労感は続いている。

胸部単純 CT 終了後、 心拍数 108/分、整。血圧 92/62 mmHg。SpO₂ 98 %(room air)。

次に行うべき対応で適切なのはどれか。

a. 経過観察

b. 緊急手術

c. 胸腔ドレナージ

d. 心臓カテーテル検査

e. 大動脈内バルーンパンピング〈IABP〉挿入

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)