問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
a. 食道癌
b. 食道憩室
c. 中縦隔腫瘍
d. 食道アカラシア
e. 食道裂孔ヘルニア
この症例では、83歳の女性が「食事中のつかえ感」を主訴として来院しており、過去に逆流性食道炎の診断を受けていること、さらに胸腹部単純CTでの所見を踏まえると、**e. 食道裂孔ヘルニア** が最も適切な診断であると考えられる。
食道裂孔ヘルニアでは、胃の一部が横隔膜を越えて胸腔内に入り込むことで、食道の圧迫や逆流性食道炎、嚥下困難、胸やけなどが引き起こされる。また、高齢者に多く見られる。
- **a. 食道癌**:食事中のつかえ感は共通する症状だが、逆流性食道炎の既往やCT所見から食道癌の可能性は低い。
- **b. 食道憩室**:憩室もつかえ感を引き起こすことがあるが、症例の経過やCT所見は憩室を示唆していない。
- **c. 中縦隔腫瘍**:CT画像で腫瘍が確認される場合には、考慮すべきだが、今回の症例では記述されていない。
- **d. 食道アカラシア**:食道の蠕動運動障害によってつかえ感が起こるが、通常は長期にわたり症状が進行する。CT所見からはこの可能性は低い。
したがって、正解は **e. 食道裂孔ヘルニア** である。