問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
a. 肝不全
b. 悪性腫瘍
c. 間質性肺炎
d. 急性腎障害
e. 膀胱直腸障害
この患者で最も注意すべき合併症は **b. 悪性腫瘍** である。
この患者の症状や所見は、皮膚筋炎(dermatomyositis)を強く示唆している。皮膚筋炎は筋力低下と特徴的な皮膚症状を伴う疾患であり、抗TIF1-γ抗体陽性であることから、悪性腫瘍(特に胃癌、肺癌、乳癌、卵巣癌など)の合併が懸念される。皮膚筋炎は、悪性腫瘍との関連が高い疾患として知られており、特に高齢者においてはそのリスクがさらに増加する。
他の選択肢について:
- **a. 肝不全**:肝機能障害は軽度であり、肝不全の兆候は見られない。
- **c. 間質性肺炎**:皮膚筋炎に伴う間質性肺炎も注意すべき合併症の一つだが、この患者の胸部X線に異常がないため、現時点では重要度は低い。
- **d. 急性腎障害**:腎機能は正常であり、急性腎障害のリスクは低い。
- **e. 膀胱直腸障害**:この疾患とは関連性が低く、現在の症状からも特にリスクは見られない。
したがって、最も注意すべき合併症は **b. 悪性腫瘍** である。