問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
a. 便潜血
b. 便培養
c. 尿素呼気試験
d. 便中 CD トキシン
e. α1 アンチトリプシン試験
この時点で実施すべき検査は **d. 便中 CD トキシン** である。
患者は抗菌薬の投与後に頻回の水様性下痢が出現しており、これは**クロストリジウム・ディフィシル感染症(偽膜性腸炎)**を疑わせる典型的な症状である。抗菌薬によって腸内細菌のバランスが崩れ、クロストリジウム・ディフィシル菌が増殖することが原因となる。この場合、便中のクロストリジウム・ディフィシルトキシンを検出することが重要な診断方法である。
他の選択肢について:
- **a. 便潜血**:下痢の原因として消化管出血を示唆する所見はなく、便潜血検査は適切ではない。
- **b. 便培養**:細菌性の腸炎を疑う場合に有効だが、抗菌薬使用後の下痢としてはクロストリジウム・ディフィシル感染症が疑われるため、便培養は優先されない。
- **c. 尿素呼気試験**:これはピロリ菌感染の診断に用いられるが、今回の症状には関連がない。
- **e. α1 アンチトリプシン試験**:これは腸管での蛋白喪失を評価する検査だが、この患者の症例では適応されない。
したがって、最も適切な検査は **d. 便中 CD トキシン** である。