問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
最も考えられるのはどれか。
a. 胸腺腫瘍
b. 胸膜中皮腫
c. 成熟奇形腫
d. 悪性リンパ腫
e. 神経原性腫瘍
このケースで最も考えられるのは**e. 神経原性腫瘍**である。
解説:
神経原性腫瘍は、後縦隔に発生することが多い腫瘍で、健診で偶然発見されることがしばしばある。34歳の男性で、無症状であること、胸部造影CTで異常陰影が指摘されているが、呼吸器症状や心音の異常がないことは、後縦隔に存在する神経原性腫瘍に特徴的である。また、神経原性腫瘍は良性のものが多く、若年成人での発見が一般的である。
他の選択肢について:
- **a. 胸腺腫瘍**は前縦隔に発生することが多く、このケースでは後縦隔が疑われるため可能性が低い。
- **b. 胸膜中皮腫**は通常、アスベスト曝露が関与し、胸膜に発生するが、このケースではその背景がない。
- **c. 成熟奇形腫**は前縦隔に好発するため、今回の所見とは合致しない。
- **d. 悪性リンパ腫**は前縦隔に発生することが多く、無症状のまま進行することもあるが、通常はリンパ節腫脹や全身症状(発熱、体重減少など)がみられることが多い。