a. CRH 負荷試験
b. インスリン負荷試験
c. デキサメタゾン抑制試験
d. 副腎皮質シンチグラフィ
e. 75 g 経口ブドウ糖負荷試験
この60歳女性は、腹部超音波検査で右副腎腫瘍が指摘されており、さらに高血圧と糖尿病の既往があり、内服薬の増量が必要になっています。副腎腫瘍がホルモンを分泌しているかどうかを評価するためには、ホルモンの過剰分泌を確認するための検査が重要です。
まず、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が低値で、コルチゾールが基準範囲の上限を超えているため、**Cushing症候群**(副腎腫瘍に伴うコルチゾール過剰分泌)の可能性が示唆されます。このため、コルチゾールの抑制能を評価する試験が有用です。
以下の2つの検査が適切です:
1. **c. デキサメタゾン抑制試験**:この試験は、副腎皮質からのコルチゾール分泌を抑制できるかどうかを評価するもので、Cushing症候群の診断に非常に有用です。デキサメタゾンを投与してもコルチゾールが抑制されない場合、内因性のコルチゾール過剰が示唆されます。
2. **d. 副腎皮質シンチグラフィ**:副腎腫瘍が片側性か両側性か、また腫瘍のホルモン活性を確認するために有用です。副腎皮質の機能を評価するために用いられるシンチグラムは、副腎腫瘍のホルモン分泌性の評価に有用です。
他の選択肢について:
- **a. CRH負荷試験**:ACTH分泌を評価するための試験ですが、この患者はACTHが低値であり、副腎腫瘍が疑われるため、適切ではありません。
- **b. インスリン負荷試験**:これは糖代謝やインスリン抵抗性の評価に使用されますが、副腎腫瘍の評価には適していません。
- **e. 75g経口ブドウ糖負荷試験**:糖尿病の診断に使用されますが、副腎腫瘍の評価には直接的な関係はありません。
したがって、この患者における副腎腫瘍の評価で有用なのは **c. デキサメタゾン抑制試験** と **d. 副腎皮質シンチグラフィ** です。