Aさん(53 歳、男性、会社員)は、1週前から倦怠感が強く、尿が濃くなり、眼の黄染もみられたため、近くの医療機関を受診し黄疸と診断された。総合病院の消化器内科を紹介され受診した。時々、便が黒いことはあったが、腹痛はなかった。既往歴に特記すべきことはない。
来院時のバイタルサインは、体温 36.8 ℃、脈拍 68/分、血圧 134/82 mmHg であった。血液検査データは、アルブミン 4.2 g/dL、AST<GOT>69 IU/L、ALT <GPT> 72 IU/L、総ビリルビン 14.6 mg/dL、直接ビリルビン 12.5mg/dL、アミラーゼ 45 IU/L、Fe 27 μg/dL、尿素窒素 16.5 mg/dL、クレアチニン0.78 mg/dL、白血球 9,200/μL、Hb 11.2 g/dL、血小板 23 万/μL、CRP 2.8 mg/dLであった。
Aさんのアセスメントで正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 脱水がある。
2. 閉塞性黄疸である。
3. 膵炎を発症している。
4. 急性腎不全を発症している。
5. 鉄欠乏性貧血の可能性がある。
腹部造影 CT にて膵頭部癌が疑われ、内視鏡的逆行性胆管膵管造影<ERCP>が行 われ、膵液細胞診と膵管擦過細胞診とが行われた。また、内視鏡的経鼻胆道ドレナ ージ<ENBD>が行われ、ドレナージチューブが留置された。処置後 18 時間、チューブからの排液は良好で、腹痛はなく、Aさんはチューブが固定されている鼻翼の 違和感を訴えている。バイタルサインは、体温 37.1 ℃、脈拍 76/分、血圧 128/80 mmHg であった。血液検査データは、総ビリルビン 11.2 mg/dL、直接ビリルビン 8.2 mg/dL、アミラーゼ 96 IU/L、白血球 9,800/μL、CRP 3.5 mg/dL で あった。
このときのAさんへの看護で正しいのはどれか。
1. 禁食が続くことを伝える。
2. ベッド上安静が必要であることを伝える。
3. 鼻翼にドレナージチューブが接触していないか確認する。
4. ドレナージチューブを持続吸引器に接続する準備をする。
細胞診の結果、クラスⅤで膵頭部癌と診断された。上部消化管内視鏡検査で十二指腸に出血を伴う膵癌の浸潤を認め、胃切除を伴う膵頭十二指腸切除術が行われた。術後、中心静脈栄養法<IVH>を行ったがインスリンの投与は必要ないと判断された。経過は良好であり、食事が開始された。
このときのAさんに対する説明で適切なのはどれか。
1. 便秘が起こりやすい。
2. 脂質の制限は不要である。
3. カロリー制限が必要となる。
4. ダンピング症状が起こりやすい。