手術までの自宅での A さんの過ごし方で、優先して指導すべき内容はどれか。
1. 食事制限
2. 足趾の運動
3. ベッド上安静
4. 体位変換の方法
Aさんの状況を鑑みると、手術までの期間に彼女が行うべき活動は、限定された環境の中でもできることに注目する必要があります。彼女は右腓骨を骨折しており、膝関節から足関節までギプス固定されているため、全体的な身体活動が制限されています。このような状態では、血流促進と深部静脈血栓(DVT)予防が特に重要です。
選択肢「2. 足趾の運動」は、ギプス固定されている足の活動可能な部分を使って運動することにより、血流を促進し、DVTのリスクを低減する効果があります。足趾を動かすことは、ギプス固定部分以外の筋肉を活動させることにつながり、血液循環を改善する手助けになります。また、足趾の運動は比較的簡単に行え、安静を保ちながらも可能な活動です。
A さんは入院し、手術を受けた。手術室から病室への帰室後1時間、A さんのバイタルサインは、体温 35.9 ℃、呼吸数 16/分、いびき様呼吸、脈拍 60/分、血圧145/87 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO₂>96 %(鼻腔カニューレ3L/分酸素投与下)。大きな声で呼ぶと開眼し、簡単な指示に従うことができる。尿量は 70mL/時、血糖値 128 mg/dL であった。
看護師が優先して対処すべきAさんの症状・徴候はどれか。
1. 体温 35.9 ℃
2. いびき様呼吸
3. 血圧 145/87 mmHg
4. 尿量 70 mL/時
5. 血糖値 128 mg/dL
Aさんの現状を考えると、優先して対処すべき症状は「2. いびき様呼吸」です。この症状は、特に手術後に見られる場合、気道の部分的な閉塞や睡眠時無呼吸症候群の症状が再現されている可能性があります。いびき様呼吸は、適切な呼吸が行われていないことを示す徴候であり、酸素交換の効率低下を引き起こす可能性があります。Aさんはすでに鼻腔カニューレによる酸素投与を受けていますが、この症状が続く場合、気道の管理やさらなる呼吸支援が必要になるかもしれません。
手術後日。A さんはバイタルサインも安定しているため、離床の準備を始めることになった。
初回離床時に最も注意すべき訴えはどれか。
1. 「息苦しい」
2. 「腰が重い」
3. 「痰が出る」
4. 「傷口が引きつる」
手術後の初回離床時に最も注意すべき訴えは、Aさんの既往歴と現状を考慮すると「1. 「息苦しい」」です。Aさんはすでに睡眠時無呼吸があると夫が報告しており、これは呼吸関連の問題が既に存在することを示しています。手術後、特に体位変更の際には、肺の換気や酸素化が影響を受けやすく、急な息苦しさは、潜在的な呼吸不全や肺合併症を示唆する可能性があります。
離床時には、以下の理由で息苦しさが発生しやすいです:
静脈血栓症(VTE):長時間の安静により、特に下肢で血栓が形成されやすくなります。これが肺塞栓症(PE)を引き起こす場合があり、急な息苦しさの原因となることがあります。
肺炎やアテレクターゼ(肺虚脱):手術後は呼吸筋の動きが制限されたり、痛みにより深い呼吸が困難になることから、肺の一部が十分に膨らまず、合併症を引き起こす可能性があります。