A さん(88 歳、男性)は、10 年前に脳梗塞を発症し左半身麻痺の後遺症がある。杖歩行はでき、要介護2で介護保険サービスを利用中である。A さんが最近食欲がなく、水分もあまり摂らず、いつもと様子が違うことを心配した妻が A さんに付き添って受診した。
身体所見:呼びかけに対して返答はあるが反応はやや遅い。麻痺の症状に変化はない。バイタルサインは、体温 37.5 ℃、呼吸数 20/分、脈拍 100/分、血圧 140/60mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO₂>98 %(room air)。
検査所見:赤血球 410 万/μL、白血球 6,800/μL、Ht 50 %、総蛋白 6.5 g/dL、尿素窒素 25 mg/dL、 Na 150 mEq/L、K3.8 mEq/L、 血糖値 110 mg/dL、 CRP 0.01mg/dL。胸部エックス線写真に異常なし。
A さんの状態をアセスメントするために、外来看護師が収集すべき情報で優先度が高いのはどれか。
1. 口渇感
2. 呼吸音
3. 尿比重
4. 腹部膨満感
「尿比重」の測定は、脱水の程度を評価する上で非常に有用な情報を提供します。尿比重は体内の水分バランスと腎機能の指標となり、脱水状態を示唆することがあります。
A さんは入院となり、点滴静脈内注射が開始された。入院当日の夜間、A さんは「ここはどこか、家に帰る」などと言い、点滴ラインを触ったり杖を使わずにトイレに1人で行こうとしたりして落ち着かず、ほとんど眠っていなかったと夜勤の看護師から日勤の看護師に申し送りがあった。
日勤で A さんを受け持つ看護師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
1. 時計を A さんから見える場所に置く。
2. 主治医に A さんの退院について相談する。
3. 日中は A さんにスタッフステーションで過ごしてもらう。
4. 点滴ラインが A さんの視界に入らないようにする。
5. 日中は A さんの病室の窓のカーテンを閉めておく。
「時計を A さんから見える場所に置く」は、Aさんが自分がいる時間を認識しやすくすることで、時間感覚の喪失による混乱を減少させるための有効な方法です。入院中の患者は、日常のリズムが崩れがちで、特に高齢者の場合、時間や場所に対する感覚が乱れやすいため、このような対策は彼のオリエンテーションを助けます。
「点滴ラインが A さんの視界に入らないようにする」は、Aさんが点滴ラインを触ることによって生じる可能性のある問題(例えば、点滴ラインが外れる、感染のリスクが増加するなど)を防ぐための対策です。しかし、実際には点滴ラインを完全に視界から外すことは難しく、また、Aさんの安全を確保するためには、点滴ラインに触れないように注意を促すことや、必要に応じてサポートを提供することがより適切な対応となります。
入院から 1週が経過し、A さんのバイタルサインなどは正常となり、食事も摂取できるようになった。A さんの妻は「先生からそろそろ退院できるといわれましたが、夫はほとんどベッド上で過ごしており、トイレまで歩けそうにありません。これで退院できるか不安です」と看護師に話した。現在の A さんの日常生活動作<ADL>は、起立時にふらつきがみられ、歩行は不安定である。ポータブルトイレを使用して排泄している。
現在の A さんの状況から、退院に向けて看護師が連携する者で適切なのはどれか。2つ選べ。
1. 薬剤師
2. 民生委員
3. 管理栄養士
4. 理学療法士
5. 介護支援専門員
理学療法士:Aさんは起立時のふらつきと歩行の不安定さがあります。理学療法士は、Aさんの運動機能を評価し、個別のリハビリテーション計画を立てることができます。これには、バランスと歩行の改善、筋力の向上、杖歩行の安全な使用方法などが含まれます。理学療法士との連携により、Aさんの身体機能を向上させ、自宅での安全な活動を支援することができます。
介護支援専門員:退院後の生活をサポートするためには、家庭でのケアの手配が必要です。介護支援専門員(ケアマネジャー)は、Aさんとその家族に対して、必要な介護サービスの計画を立て、介護保険を利用したサービスの手配を行います。これには、訪問介護、訪問看護、通所リハビリテーション、または必要に応じて住宅改修の相談などが含まれます。