A さん(37 歳、男性)は妻(40 歳、会社員)と2人暮らし。筋強直性ジストロフィーで週 5回の訪問介護を利用していた。1か月前に傾眠傾向が著明となり入院して精査した結果、睡眠時無呼吸に対して夜間のみフェイスマスクを用いた非侵襲的陽圧換気療法が導入された。A さんは四肢遠位筋に筋萎縮と筋力低下があるが、室内の移動は電動車椅子を操作して自力で行え、食事も準備すれば妻と同じものを摂取できる。
退院後、週 1回午後に訪問看護が導入されることになった。
訪問看護と訪問介護の担当者、A さんと妻を含めた退院前カンファレンスが開催された。妻から「夜間に停電になったらどうすればよいですか」と発言があった。このときの妻への訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
1. 電動式でない車椅子を購入するよう勧める。
2. 訪問看護事業所が発電機を貸し出すと伝える。
3. バッグバルブマスクでの用手換気の指導を行う。
4. 停電時にハザードマップを確認するよう提案する。
バッグバルブマスクを用いた手動での換気は、電源が利用できない状況での緊急時の呼吸支援方法として有効です。訪問看護師は、Aさんや妻にバッグバルブマスクを使用した手動換気の方法を指導し、非常時に備えることができます。
退院前カンファレンスで、訪問介護の担当者から、これまでと同様に退院後も昼食の準備と後始末、口腔ケア、入浴介助を行う予定と発言があった。訪問看護師は訪問介護の担当者に、A さんの状態の変化に気付いたら連絡がほしいと協力を求めた。
訪問介護の担当者に説明する A さんの状態の変化で、特に注意が必要なのはどれか。
1. 傾眠傾向
2. 眼の充血
3. 口腔内の乾燥
4. 食事摂取量の低下
Aさんは筋強直性ジストロフィーを患っており、1か月前に傾眠傾向が著明となって入院し、睡眠時無呼吸のために夜間のみ非侵襲的陽圧換気療法が導入されました。この傾眠傾向は、睡眠時無呼吸症候群の影響であり、日中の過度の眠気や注意力の低下を引き起こす可能性があります。これがAさんの日常生活や安全に直接影響を及ぼすため、訪問介護の担当者はAさんの傾眠傾向に特に注意を払い、その変化に気づいた場合は、訪問看護師や医師に連絡する必要があります。
退院後 1週、訪問看護師は A さんの鼻根部の皮膚に発赤があることに気付いた。
訪問看護師の妻への対応で適切なのはどれか。
1. 「鼻マスクに変更しましょう」
2. 「発赤部位は洗わないようにしましょう」
3. 「人工呼吸器の装着時間は短くしましょう」
4. 「フェイスマスクのベルトは指が2本入る程度に固定しましょう」
Aさんが使用している非侵襲的陽圧換気療法のフェイスマスクによって鼻根部に発赤が生じている場合、この問題を解決するためには、マスクのフィット感を調整することが重要です。フェイスマスクが適切にフィットしていないと、圧迫や摩擦によって皮膚の問題が生じる可能性があります。
選択肢「4. フェイスマスクのベルトは指が2本入る程度に固定しましょう」が、この状況における最適な対応策です。フェイスマスクのベルトを適切に調整することで、必要以上の圧迫を避けつつも、マスクがしっかりと顔にフィットするようにします。指が2本入る程度の緩さは、マスクが適切に固定される一方で、過度な圧迫を防ぐ目安となります。