Aさん(75歳、男性)は妻(75歳) と2人暮らしで、15年前にParkinson<パーキンソン>病と診断された。7年前よりレボドパ<L-dopa>を1日3回内服している。Hoehn & Yahr<ホーエン・ヤール>重症度分類のステージⅣで、要介護2である。妻は腰痛のため毎日リハビリテーション目的で通院中である。妻の介護負担を軽減するため、A さんは毎月 10 日間、介護老人保健施設の短期入所<ショートステイ>を利用している。今回は妻の腰痛が増強したため、A さんは予定を早めて入所した。A さんは握力が低下しているが、スプーンを使用し自力で食事を摂取している。食事中に姿勢が崩れることが多く、むせや食べこぼしがある。
看護師の A さんへの食事援助で正しいのはどれか。
1. 頸部を後屈した体位にする。
2. 座位時の体幹を安定させる。
3. 食後に嚥下体操を実施する。
4. こぼさずに摂取できるよう全介助する。
パーキンソン病患者の食事援助において、座位時の体幹を安定させることは、食事中の姿勢を保ちやすくし、むせや食べこぼしを減少させるために重要です。適切な姿勢を保つことで、嚥下機能も向上します。
A さんは社交的で短期入所中はいつも介護老人保健施設の利用者や職員と笑顔で会話していたが、今回は、会話中に急に表情がなくなり声が聞きとれないほど小さくなったり、手足の震えが出現することがあった。食後に薬を内服すると症状は改善するが、内服して2時間後には同じような症状が現れることがあった。
A さんの症状はどれか。
1. オンオフ現象
2. ジスキネジア
3. アナフィラキシー反応
4. ウェアリングオフ現象
ウェアリングオフ現象は、パーキンソン病の治療において、レボドパの効果が次第に薄れていく現象を指します。Aさんの症状は、薬を内服すると一時的に改善するものの、内服してから2時間後に再び症状が現れるというものであり、これはウェアリングオフ現象の典型的なパターンです。
妻の腰痛が改善したため、A さんは自宅に戻ることになった。A さんは「妻に負担をかけないように自分で動けるようになりたい。自宅でできる運動や注意することを教えてください」と看護師に話した。
A さんへの指導で適切なのはどれか。
1. 「毎日 30 分間の階段昇降を行いましょう」
2. 「歩行時に腕を大きく振りましょう」
3. 「小刻みに歩くようにしましょう」
4. 「毎日1km 歩きましょう」
パーキンソン病患者は筋肉のこわばりや動作の遅さ、姿勢の不安定さなどにより、歩行が困難になることがあります。歩行時に腕を大きく振ることで、バランスが改善され、歩行が安定することがあります。また、自然な歩行リズムを取り戻す助けにもなります。