A ちゃん(2歳、男児)は両親、兄(5歳)の4人家族である。3日前から発熱が続くため、母親と一緒に外来を受診した。診察の結果、川崎病と診断され、個室に入院となり左手背に点滴静脈内留置針が挿入された。入院中は母親が希望し、A ちゃんに付き添っている。A ちゃんに γ-グロブリン療法とアスピリンの内服が開始されることになった。看護師が γ-グロブリン療法の開始のために訪室すると、A ちゃんは不機嫌にぐずって泣いている。
γ-グロブリン療法の開始に伴う看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1. γ-グロブリン製剤の投与中もAちゃんと売店に行けると母親に伝える。
2. 留置針の自己抜去防止のために右肘関節に抑制帯を使用する。
3. 心負荷の軽減のために A ちゃんの経口水分摂取を制限する。
4. 心電図モニターの装着を確認する。
5. 留置針の刺入部を観察する。
γ-グロブリン療法の投与中は、心臓に負担がかかる可能性があるため、心電図モニターで心機能を継続的に監視することが重要です。留置針の刺入部位は感染や炎症のリスクがあるため、定期的に観察して異常がないか確認する必要があります。
A ちゃんの入院中、母親は一度も自宅に帰らずに付き添いを続けている。入院3日の朝に看護師が訪室したところ、母親が「夫から電話があって、A の入院後、兄がほとんど寝ずに大泣きしているらしく、私は心配です」と話している。
母親への看護師の対応で適切なのはどれか。
1. 病室内で A ちゃんと兄を面会させてよいと伝える。
2. A ちゃんのことに集中するべきであると伝える。
3. 兄と関わる時間を持てるよう母親に帰宅を促す。
4. 退院の可否を医師と相談すると伝える。
Aちゃんの母親は、Aちゃんに付き添い続けているため、家族全体の状況にストレスを感じています。兄が家で大泣きしているということは、兄も精神的に不安定になっている可能性があります。母親が一時的にでも帰宅し、兄と時間を過ごすことで、兄の精神的な安定を図ることができます。
入院4日、A ちゃんは解熱し活気が出てきた。翌日、看護師が A ちゃんを観察すると、手指の先端から皮膚が膜のように薄くむけていた。
この所見に対する看護師のアセスメントで適切なのはどれか。
1. γ-グロブリン療法の副作用(有害事象)である。
2. 皮膚のツルゴールが低下している。
3. 川崎病の回復期の症状である。
4. 皮膚科の受診が必要である。
川崎病は、急性の全身性血管炎であり、典型的には以下のような症状が見られます:
持続する発熱
両側眼球結膜の充血
口唇の紅潮や亀裂、イチゴ舌
非化膿性の頚部リンパ節腫脹
手足の腫脹および硬化、末梢の指先からの皮膚の剥離
Aちゃんの手指の先端から皮膚が膜のように薄くむけているという所見は、川崎病の回復期に見られる典型的な症状です。