A さん(33 歳、初産婦、会社員)は夫と2人で暮らしている。妊娠 28 週5日、夕方から下腹部に生理痛のような痛みを感じ、少量の性器出血があったため来院した。来院時、子宮口2cm 開大、未破水、8分おきに 20 秒持続する子宮収縮があり、切迫早産と診断された。子宮収縮抑制薬(リトドリン塩酸塩)の点滴静脈内注射と安静による治療が開始された。
点滴を開始して 30 分後に看護師が訪室すると、A さんは Fowler<ファウラー> 位で休んでいた。
このときの A さんの状態で看護師が注意して観察すべき項目はどれか。
1. 経皮的動脈血酸素飽和度<SpO₂>
2. 血 圧
3. 呼吸数
4. 脈 拍
リトドリン塩酸塩は子宮収縮抑制薬として使用されるが、β2受容体作動薬であるため、心拍数を上昇させる副作用があります。そのため、リトドリン塩酸塩の点滴静脈内注射を受けているAさんに対しては、脈拍の観察が重要です。脈拍の変動は、リトドリンの副作用を早期に発見し、適切な対処を行うために必要です。
切迫早産の症状がなくなり、A さんは妊娠 35 週0日で退院した。妊娠 36 週0日に妊婦健康診査のために来院した。ノンストレステスト<NST>を実施中に、「気分が悪い」とナースコールがあり看護師が訪れると、A さんは仰臥位になっていた。
A さんへの対応で看護師が最初に行うのはどれか。
1. 医師に報告する。
2. 血圧測定を行う。
3. 左側臥位にする。
4. 酸素吸入を行う。
妊娠後期の妊婦が仰臥位で気分不快を訴える場合、仰臥位低血圧症候群の可能性があります。これは、大きくなった子宮が下大静脈を圧迫し、血流を阻害することで血圧が低下し、気分不快やめまいを引き起こすものです。最初に左側臥位にすることで、圧迫を軽減し、血流を回復させることができます。
A さんは妊娠 36 週5日、8時に分娩が開始した。16 時 30 分に子宮口全開大、16 時 35 分に自然破水、18 時 30 分に男児を出産した。分娩時出血量は 350 mL、児の Apgar<アプガー>スコアは1分後8点、5分後9点であった。
A さんの分娩のアセスメントで適切なのはどれか。
1. 早期産である。
2. 異常出血である。
3. 前期破水である。
4. 新生児仮死である。
妊娠37週未満での分娩は早産(早期産)と定義されます。Aさんは妊娠36週5日で分娩していますので、これは早期産に該当します。