A さん(20 歳、女性)は境界性人格<パーソナリティ>障害の診断を受け、精神科外来に通院中である。ある日、人間関係のトラブルから処方されていた睡眠薬を過量服薬して自殺企図をしたところを家族に発見され、救命救急センターに搬送された。
A さんは救急外来で治療を受け会話ができるまでに回復した。
A さんへの看護師の最初の対応で適切なのはどれか。
1. 過量服薬した場面の振り返りを促す。
2. 現在の希死念慮の有無について確認する。
3. 大量の睡眠薬を飲まずに残していた理由を追及する。
4. A さんと看護師の間で二度と過量服薬しないと約束する。
Aさんは自殺企図をして搬送された後に回復しており、現在の精神状態を把握することが最も重要です。現在の希死念慮(自殺したい気持ち)の有無を確認することで、Aさんの安全を確保し、適切な支援を提供するための第一歩となります。
A さんは身体的な治療を受けた後、精神科病棟に入院することになった。入院3日の 22 時、A さんがハサミを貸してほしいとナースステーションに来た。日勤の看護師がいる時間帯のみ付き添いでハサミの貸出が可能という主治医からの指示を伝えると「看護師 B は貸してくれたのに。こんなひどい対応をする看護師はあなただけだ」と話し、その場を動かない。
このときの A さんへの対応で適切なのはどれか。
1. ハサミの使用目的を聞く。
2. 看護師付き添いのもとハサミを貸し出す。
3. 看護師 B が誤った対応をしたと説明する。
4. A さんの行動が心配なので貸し出せないと伝える。
Aさんが境界性パーソナリティ障害を持つ患者であり、ハサミを求める行動には潜在的な危険性があるため、まずはその使用目的を確認することが重要です。これにより、Aさんの要求の背景や動機を理解し、適切な対応を取るための情報を得ることができます。
入院1週、A さんは看護師ごとに言動や態度を変えることが多く、病棟では Aさんに対して共感を示す看護師と、拒否的な態度を示す看護師に分かれてしまった。そのため、病棟の看護師はチームでの対応についてカンファレンスを行った。
A さんへの看護師のチームとしての対応で適切なのはどれか。
1. A さんと看護師が関わる頻度を減らす。
2. A さんに共感を示す看護師に担当を固定する。
3. A さんに対する感情を看護師同士で表出しないように統一する。
4. A さんの行動が患者安看護師関係にもたらす影響について評価する。
境界性パーソナリティ障害を持つ患者は、対人関係において極端な反応を示すことがあり、これが医療スタッフとの関係に影響を及ぼすことがあります。Aさんの行動が患者や看護師の関係にどのような影響を与えているかを評価することは、適切な対応策を見つけるための第一歩です。これにより、チーム全体で一貫した対応を行うための基盤を作ることができます。