28歳の男性。墜落事故のため工事現場から救急車で搬入された。
現病歴:建築作業中に誤って約3mの高さから墜落し、頭部を強打した。意識障害がみられ、救急搬送された。
既往歴:生来健康で特記すべきことはない。
生活歴:高校卒業後から建築作業員。独身。大酒家で喫煙歴は不明。
家族歴:特記すべきことはない。
現症:来院時、閉眼。身長170cm(推定)。体重70kg(推定)。体温36.4℃。脈拍48/分、整。血圧192/104mmHg。呼吸数12/分。SpO2 92%(リザーバー付マスク10 L/分酸素投与下)。左側頭部に皮下血腫を認める。瞳孔径両側3mmで対光反射は正常である。口腔、鼻孔および耳孔からの出血を認めない。他部位の創傷からの外出血はない。心音と呼吸音とに異常を認めない。痛み刺激で開眼し、 発語は「あ~」「う~」の発声のみを認める。痛み刺激で手足の逃避的な屈曲を認める。
a. 2
b. 3
c. 4
d. 5
e. 6
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、血液所見:赤血球 424万、Hb. 13.8 g/dL、Ht 48%、白血球 8,600、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白7.2 g/dL、アルブミン 4.0 g/dL、総ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 21 U/L、ALT 28 U/L、尿素窒素 16 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、血糖 85 mg/dL、Na 142 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 102 mEq/L。CRP 1.2 mg/dL。動脈血ガス分析(リザーバー付マスク 10L/分酸素投与下):pH 7.20、PaCO2 64 Torr、PaO2 62 Torr、HCO3- 24 mEq/L。胸部エックス線写真と骨盤部エックス線写真とで異常を認めない。頭部単純CTで異常を認めない。
この患者に行うべきなのはどれか。
a. 人工換気
b. 抗菌薬投与
c. 脳室ドレナージ
d. 抗てんかん薬投与
e. 副腎皮質ステロイド投与
意識レベル低下による低換気と低酸素血症(PaO2:62Torr)を認める。
→まずは換気をしましょう。
その後の経過:翌日に撮影された頭部MRIのFLAIR像で脳梁を中心とした白質に小さな高信号領域の散在を認めた。受傷後4日目に開眼し、受傷後5日目には意識レベルはJCSⅠ-1となった。リハビリテーションを進め自宅退院を目指すことになった。
退院後も長期に認められる可能性があるのはどれか。
a. 失調
b. 片麻痺
c. 嚥下障害
d. 排便障害
e. 行動障害