40歳の男性。仕事がうまくできなくなったことを主訴に妻とともに来院した。1年前、夜間にロードバイクで走行中に転倒し、電柱で頭部を強打して救急搬送されて入院した。そのときの意識レベルはJCSⅢ-100。左鎖骨骨折がみられ、頭部CTで両側前頭葉の挫傷と脳梁、基底核の点状出血とを認めた。翌日夕方には会話が可能な状態にまで回復したが、その後約1週間の健忘を残した。鎖骨骨折の経過は良好で運動障害を残すことなく1か月後に退院した。しかし、妻によると入院中からめまいを訴えることが多く、不機嫌で人が変わったようになっていたという。めまいは徐々に軽快し、退院5か月後に職場に復帰したが、単純ミスが目立ち、注意されると激昂する。注意散漫で指示の理解も悪く、上司の勧めもあって受診した。患者自身は「困ることはない。仕事もまじめにやっている」と述べる。疎通性は比較的保たれているが、長い質問は十分理解できない。

神経学的所見と血液生化学所見とに異常を認めない。頭部CTでは両側側脳室の軽度拡大が見られた。

この患者の心理・精神機能評価に有用な検査はどれか。2つ選べ。

a. Rorschachテスト

b. 文章完成法テスト(SCT)

c. Minnesota多面人格検査(MMPI)

d. Wechsler成人知能検査(WAIS-Ⅲ)

e. 前頭葉機能検査[Frontal Assessment Battery(FAB)]

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)