78歳の男性。胃病変の精査と治療とを希望して来院した。
現病歴:2年前から心窩部痛を自覚していた。自宅近くの診療所で上部消化管造影検査を受け、異常を指摘されたため紹介されて受診した。上部消化管内視鏡検査で同様に異常所見を認め、4か所の生検のうち1か所は組織診断分類Group5で、手術適応と考えられた。
既往歴:10年前から高血圧症で治療中。 生活歴:喫煙は30本/日を58年間。飲酒は日本酒2合/日を58年間。ADLは自立している。
家族歴:父親が胃癌。
現症:意識は清明。身長167cm、体重48kg。体温36.4℃。脈拍68/分、整。血圧130/80mmHg。呼吸数18/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。表在リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、心窩部に圧痛を認めるが腫瘤は触知しない。
検査所見:血液所見:赤血球310万、Hb. 10.6g/dL、Ht 29%、白血球8,600、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.0g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 30IU/L、ALT 42IU/L、LD 350IU/L(基準176~353)、ALP 242IU/L(基準115~359)、γ-GTP 83IU/L(基準8~50)、アミラーゼ84IU/L(基準37~160)、CK 130U/L(基準30~140)、尿素窒素5.0mg/dL、血糖108mg/dL、HbA1c. 5.8%(基準4.6~6.2)、総コレステロール57mg/dL、コリンエステラーゼ300IU/L(基準400~800)、Na. 140mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 100mEq/L。CRP 0.4mg/dL。動脈血ガス分析(room air)pH 7.39、PaCO2 50Torr、PaO2 75Torr、HCO3 -29mEq/L。呼吸機能検査:%VC 68%、FEV1% 54%。
患者が持参した上部消化管造影像と精査のため行った上部消化管内視鏡像とを別に示す。
上部消化管内視鏡像の肉眼型はどれか。
a. 0型
b. 1型
c. 2型
d. 3型
e. 4型
スキルス胃癌は内視鏡で見落としやすいやつです。
若年者に多く、進展が早いため予後悪し…
術前管理として必要なのはどれか。3つ選べ。
a. 禁煙
b. 輸血
c. 栄養管理
d. アルブミン製剤投与
e. 呼吸器リハビリテーション
常識的に考えましょう。
胃の手術術式として適切なのはどれか。
a. 全摘術
b. 局所切除術
c. 噴門側切除術
d. 幽門側切除術
e. 膵頭十二指腸切除術
スキルスなのでびまん性に進展している。全摘術が適応となる。