問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
7歳の男児。腹痛、頻回の嘔吐および全身倦怠感を主訴に母親に連れられて来院した。この数日間、運動会の練習があり易疲労感を訴えていた。昨夜はほとんど食事をとらずに就寝した。今朝から腹痛と頻回の嘔吐とが出現し、徐々に元気がなくなり、表情に乏しく歩行もできなくなったため受診した。5歳ころから今回と同様の経過を数回繰り返している。
身長122cm、体重18kg。体温36.4℃。脈拍92/分、整。顔面は蒼白。咽頭に発赤を認めない。呼気に酸臭を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。皮膚のツルゴールは低下している。
検査で高値を示すのはどれか。
a. 血糖
b. 血清Na
c. 血清Ca
d. 尿ケトン体
e. 血清総ビリルビン
アセトン血性嘔吐症(周期性嘔吐症)の症例である。
2~10歳くらいの小児にみられ、成長とともに自然に治ることが多い。
精神的ストレスや感染症によって食事の摂取量が落ちることで、蓄えた糖分を使い果たしてしまうことが発症の主な原因。体脂肪の分解によって血液中にアセトンが増えることでさまざまな症状が生じる。