36歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。
現病歴:約1年前から易疲労感を感じていたが、仕事が忙しいせいではないかと考えて医療機関を受診していなかった。約1週間前から陰茎に傷があることに気付いていたが、痛みがないためそのままにしていた。同じころから朝起きると寝汗で布団が濡れていることが多くなってきた。これらの症状が心配になり受診した。
既往歴:約2年前に淋菌性尿道炎の治療歴がある。アレルギー歴はない。
生活歴:健康食品の営業職。独身で一人暮らし。喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒。ペットは飼っていない。海外渡航歴はない。約 10 年前から不特定多数の女性と性交渉がある。
家族歴:父親が肺癌のため 56 歳で死亡。母親は高血圧症で治療中。妹は健康。
現症:意識は清明。身長 180 cm、体重 58 kg。体温 38.0 ℃。脈拍 60/分、整。 血圧 110/80 mmHg。呼吸数 12/分。SpO2 98 %(room air)。心音と呼吸音とに異常 を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸蠕動音に異常を認めな い。表在リンパ節を触知しない。四肢筋力と腱反射は正常である。陰茎に潰瘍を認めるが痛みはない。
検査所見:血液所見:赤血球 468 万、Hb 13.9 g/dL、Ht 42 %、白血球 4,300 (好中球 75 %、好酸球 8 %、好塩基球 1 %、単球 6 %、リンパ球 10 %)、血小板 21 万、 PT-INR 1.3(基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 7.5 g/dL、アルブミン 3.9 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、直接ビリルビン 0.2 mg/dL、AST 34 U/L、 ALT 18 U/L、LD 178 U/L (基準 176〜353)、ALP 340 U/L (基準 115〜359)、 γ-GTP 30 U/L(基準 8〜50)、アミラーゼ 90 U/L(基準 37〜160)、CK 42 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 16 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL、尿酸 6.9 mg/dL、血糖 98 mg/dL、Na 131 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 97 mEq/L。陰茎の写真を別に示す。
≪画像公開なし≫陰茎の写真なので掲載不可
行うべき検査はどれか。
a. 梅毒血清反応
b. 病変部の生検
c. 尿淋菌核酸増幅検査
d. 尿クラミジア核酸増幅検査
e. 浸出液のヘルペスウイルス抗原検査
梅毒を疑う症例
この患者に投与すべき薬剤はどれか。
a. アシクロビル
b. レボフロキサシン
c. アムホテリシン B
d. クラリスロマイシン
e. ベンジルペニシリン<ペニシリン G>
梅毒の治療薬はペニシリンG
この患者に混合感染している可能性が高いのはどれか。2つ選べ。
a. HIV
b. EB ウイルス
c. 風疹ウイルス
d. B型肝炎ウイルス
e. パルボウイルスB19
性感染症を選ぶ問題