34 歳の女性。腹痛、下痢および発熱を主訴に来院した。

現病歴:2日前に夫婦で焼き鳥と鳥刺しを食べた。昨日深夜に腹痛と悪寒とで目を覚まし、トイレに駆け込んだところ水様下痢であった。朝までに5、6回の水様下痢と1回の嘔吐があり、夫に連れられて受診した。夫は下腹部痛はあるが、下痢はない。

既往歴 :4歳時に肺炎。

生活歴 : 会社員。33 歳の夫との2人暮らし。ペットは飼っていない。海外渡航歴はない。

家族歴:父親が高血圧症。母親が糖尿病。

現症: 意識は清明。身長 155 cm、体重 48 kg。体温 37.8 ℃。脈拍 112/分、整。血圧 102/68 mmHg。呼吸数 18/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内と皮膚は乾燥している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、全体に軽度の圧痛を認めるが反跳痛はない。肝・脾を触知しない。皮疹を認めない。

検査所見 : 尿所見:比重 1.031、蛋白(±)、糖(-)、ケトン体2+、潜血(-)。便所見:外観は淡黄色水様。血液の付着はない。血液所見:赤血球 452 万、Hb13.1 g/dL、Ht 40 %、白血球 10,300(好中球 81%、好酸球2%、好塩基球0%、単球1%、リンパ球 16 %)、血小板 32 万。血液生化学所見:総蛋白 8.0 g/dL、アルブミン 4.1 g/dL、総ビリルビン1.0 mg/dL、AST 10 U/L、ALT 16 U/L、LD 289U/L(基準 176〜353)、ALP 215 U/L(基準 115〜359)、γ-GTP 14 U/L(基準 8〜50)、アミラーゼ 55 U/L(基準 37〜160)、CK 50U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 22 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、尿酸4.2 mg/dL、血糖 82 mg/dL、Na 133 mEq/L、K 3.0 mEq/L、Cl 95 mEq/L。CRP 4.5 mg/dL。


脱水と判断し、直ちに生理食塩液の急速輸液を開始した。

脱水改善の指標となる所見はどれか。2つ選べ。

a. CRP

b. 体重

c. 脈拍

d. 尿比重

e. 白血球数

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次に行うべき検査はどれか。

a. 便潜血検査

b. 便培養検査

c. 便脂肪染色

d. 便中ロタウイルス抗原検査

e. 便中 Clostridium difficile 抗原検査

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治療開始後は順調に回復し入院3日目に退院したが、退院 10 日目から両下肢の脱力が出現した。脱力感は徐々に進行し、退院 12 日目に歩行困難となったため、救急車で搬入された。

最も考えられるのはどれか。

a. 脳梗塞

b. 多発性硬化症

c. 重症筋無力症

d. ウイルス性髄膜炎

e. Guillain-Barré 症候群

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)