55 歳の男性。息切れと下腿の浮腫とを主訴に来院した。現病歴:約6か月前から全身倦怠感を自覚していたが他に症状がないので様子をみていた。1か月前から下腿の浮腫を自覚し、次第に労作時の息切れを感じることが多くなったため受診した。
既往歴:30 歳時に虫垂炎手術。
家族歴:父親が 80 歳時に脳梗塞、母親が 82 歳時に膵癌で死亡。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
現症:意識は清明。身長 161 cm、体重 60 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 96/分、整。 血圧 110/72 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 90 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜と に異常を認めない。頸静脈の怒張を認める。心音はⅢ音とⅣ音とを聴取する。呼吸音は両側下胸部で減弱している。腹部は平坦、軟で、右季肋部に肝を2cm 触知す る。両下腿に圧痕を伴う浮腫を認める。
検査所見:尿所見:蛋白3+、糖(-)、沈渣に異常を認めない。血液所見:赤血球 417 万、Hb 13.0 g/dL、Ht 41 %、白血球 6,800、血小板 28 万。血液生化学所見:総蛋白 9.8 g/dL、アルブミン 2.8 g/dL、総ビリルビン 0.7 mg/dL、AST 34 U/L、ALT 26 U/L、LD 345 U/L(基準 176〜353)、ALP 225 U/L(基準 115〜359)、 尿素窒素 18 mg/dL、クレアチニン 2.3 mg/dL、血糖 79 mg/dL、HbA1c 5.3% (基準 4.6〜6.2)、Na 138 mEq/L、K 4.9 mEq/L、Cl 106 mEq/L、Ca 10.8 mg/dL、P 2.1 mg/dL、脳性ナトリウム利尿ペプチド<BNP> 253 pg/mL(基準 18.4 以下)。 CRP 0.1 mg/dL。心電図は心拍数 91/分の洞調律で肢誘導の低電位、左房負荷および不完全左脚ブロックを認める。胸部エックス線写真で心胸郭比は 52 % で、両側に少量の胸水を認める。心エコー図を別に示す。
この患者の心エコーで認められる所見はどれか。
a. 右室の虚脱
b. 左室内腔の拡大
c. 左室駆出率の低下
d. 心室中隔の菲薄化
e. 左室壁の著明な肥厚
左室がとても厚いですね。
その後の経過:入院後、血清 M 蛋白が検出され、上部消化管内視鏡による胃生検組織検査からアミロイド蛋白の沈着が証明された。他の検査結果と総合して、予後不良な全身性アミロイドーシスと診断された。
SPIKES モデルに基づく患者への伝え方として適切でないのはどれか。
a. 患者の感情に共感を示す。
b. 患者自身の病気に対する認識を知る。
c. どこまで知りたいかについて把握する。
d. 正確な病状や病名についての説明は避ける。
e. プライバシーに配慮した面談の環境を整える。
悪い知らせを患者に伝える方法論としてSPIKE理論が知られている。
S:setting 環境の設定。
P:perception 患者の認識を把握する。
I:invitation 患者の希望を把握する。
K:knowledge 知識の提供。
E:empathy 患者に共感する。
S:strategy 具体的な対応策の提示。