81 歳の男性。前立腺炎で入院中に下痢を訴えている。
現病歴:10 日前から、急性細菌性前立腺炎の診断でニューキノロン系抗菌薬の投与を受けている。治療開始後に症状は軽快したが、2日前から頻回の水様下痢と発熱が出現した。
既往歴:77 歳時に肺癌のため肺切除術。81 歳で再発し脊椎骨転移。
生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない。普段は介助を要するが歩行可能であった。
家族歴:特記すべきことはない。
現症:意識は清明。身長 150 cm、体重 42 kg。体温 37.8 ℃。脈拍 104/分、整。血圧 114/64 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 92 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺と頸部リンパ節とに異常 を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音を聴取する。直腸指診で前立腺の腫大と圧痛とを認めず、褐色泥状便を認める。神経学的所見に異常を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体1+、潜血(-)、沈渣に白血球 を認めない。血液所見:赤血球 360 万、Hb 10.0 g/dL、Ht 34 %、白血球 21,000、 血小板 18 万。血液生化学所見:総蛋白 6.5 g/dL、アルブミン 3.3 g/dL、総ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 17 U/L、ALT U/L、LD 180 U/L(基準 176〜353)、ALP 243 U/L(基準 115〜359)、γ-GTP 48 U/L(基準 8〜50)、アミラーゼ 146 U/L (基準 37〜160)、CK 30 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 24 mg/dL、クレアチニン 2.8 mg/dL、 血糖 99 mg/dL、Na 138 mEq/L、K4.0 mEq/L、Cl 108 mEq/L。CRP 4.8 mg/dL。
適切な対応はどれか。
a. 便潜血検査
b. 腹部 CT 検査
c. 止痢薬の投与
d. 抗菌薬の中止
e. 広域スペクトル抗菌薬への変更
抗菌薬使用による偽膜性大腸炎と思われる。
まずは原因薬剤の中止を。
治療薬剤はメトロニダゾール、バンコマイシン内服等。
偽膜性大腸炎の内視鏡所見 医師国家試験108E23より
この患者の状況について相談する組織として適切なのはどれか。
a. 保健所
b. 倫理審査委員会
c. 医療安全支援センター
d. 院内感染対策チーム<ICT>
e. 栄養サポートチーム<NST>
抗菌薬による副作用であることから、院内感染の原因となることから