問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
57歳の男性。食欲不振と肝機能障害のために入院中である。20歳台から連日日本酒3合を飲んでいたが、仕事に支障をきたすことはなかった。3年前から飲酒量がさらに増加し、毎日5合以上飲むようになった。1週間前から全身倦怠感を自覚し、仕事を休み始めた。それでも飲酒を続けていたが、3日前に著しい食欲不振で食事を摂れなくなったため外来受診し、血液検査で肝機能障害が認められて入院することになった。
入院時から夜間不眠があり、入院2日目から落ち着きなく歩き回り、夜間には「動物が壁を這っている」と訴えて不穏になった。このとき手指の粗大な振戦および著明な発汗がみられ、自分が入院していることが分からない様子であ った。入院時の頭部 CT で異常を認めなかった。
まず投与すべき薬剤として適切なのはどれか。2つ選べ。
a. 抗酒薬
b. ジアゼパム
c. ビタミンB群
d. イミプラミン
e. レボドパ(L-dopa)
アルコール依存症患者のアルコール離脱症候群によるせん妄。それに対する対処法について問う。
a: 落ち着いたら使うかもしれない。せん妄状態で使う薬剤ではない
b: 正解。ジアゼパム糖のマイナートランキライザーはせん妄を和らげる。
c: 正解。アルコール依存症患者はビタミンB1欠乏であることがある。ウェルニッケ脳症予防目的に使う。
d: 抗うつ薬は必要ない
e: パーキンソン病治療薬。今回は必要ない。