問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
68歳の男性。一過性の意識消失を主訴に来院した。
現病歴:買い物中に突然目の前が真っ暗になり、意識を失って転倒した。居合わせた家族によると 30 秒後に速やかに意識を回復したとのことであった。そのまま家族に連れられて受診した。
既往歴:10 年前から高血圧症で自宅近くの診療所に通院中。
生活歴:喫煙は 10 本/日を 68 歳まで 40 年間。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父親は 70 歳時に大腸癌で死亡。
追加して確認すべき情報で重要度が低いのはどれか。
a. 内服薬
b. 動悸の有無
c. 胸痛の有無
d. 黒色便の有無
e. 頭位変換時のめまいの有無
末梢性めまい症では意識消失はきたさない。
現症:意識は清明。身長 168 cm、体重 64 kg。体温 36.1 ℃。脈拍 88/分、整。血圧 128/88 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心臓の聴診で胸骨右縁第2肋間を最強点とするⅣ/Ⅵの駆出性雑音を認める。
心音・心雑音の模式図を以下に示す。
この患者で予測されるのはどれか。
a. ①
b. ②
c. ③
d. ④
e. ⑤
大動脈弁狭窄症による一過性の失神。