58歳の男性。息苦しさと左胸部痛を主訴に救急車で搬入された。
現病歴:30分前に職場でデスクワーク中、突然の息苦しさと左胸部全体の痛みが出現した。症状が強く、職場の同僚が救急車を要請した。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒はビール 350 mL/日。
家族歴:父親が胃癌で死亡。
現症:意識は清明。身長 160 cm、体重 86 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 108/分、整。血圧 128/70 mmHg。呼吸数 30/分。SpO2 93 %(リザーバー付マスク 10 L/分酸素投与下)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。Ⅱ音の亢進を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。神経診察に異常を認めない。ポータブルの胸部エックス線写真で異常を認めない。
心電図を別に示す。この心電図所見で正しいのはどれか。
a. 心房粗動
b. 正常電気軸
c. デルタ波
d. 完全左脚ブロック
e. QT 短縮
検査所見:血液所見:赤血球 450 万、Hb 13.3 g/dL、Ht 40 %、白血球 6,200、血小板 18 万。血液生化学所見:AST 32 U/L、ALT 45 U/L、LD 260 U/L (基準 176〜353)、CK 98 U/L (基準 30〜140)、尿素窒素 11 mg/dL、クレアチニン 0.6mg/dL、血糖 102 mg/dL。心エコー検査で右心系の拡大および左室の圧排像を認める。
診断確定のために行うべき検査はどれか。
a. 胸部 MRI
b. 冠動脈造影
c. 胸部造影 CT
d. 呼吸機能検査
e. 運動負荷心電図
肺血栓塞栓症は胸部造影CTで確定診断できる。
肺塞栓と言ったらWell's criteria
検査の準備中、突然息苦しさが悪化し、その後意識レベルは JCSⅡ-10 まで低下した。心拍数 128/分、整。血圧 70/40 mmHg。SpO2 は測定不能。頸静脈の怒張を認める。
考えられる病態はどれか。
a. 出血性ショック
b. 心原性ショック
c. 閉塞性ショック
d. 敗血症性ショック
e. アナフィラキシーショック
肺血栓塞栓症、緊張性気胸、心タンポナーデは閉塞性ショック