75 歳の女性。発熱を主訴に来院した。
現病歴 : 昨日からわずかな排尿痛を自覚していた。今朝から悪寒戦慄を伴う発熱が出現したため、家族に付き添われて受診した。
既往歴 : 高血圧症のため、自宅近くの診療所で投薬を受けている。胆石症のため、同じ診療所で年回の腹部超音波検査を実施している。
生活歴 : 60 歳まで小学校の教諭をしていた。夫は年前に死去し、現在は長男夫婦および中学生の孫と同居している。
家族歴 : 父が胃癌、母が大腸癌。
現 症 : 意識は清明。身長 152 cm、体重 45 kg。体温 38.3 ℃。脈拍 96/分、整。血圧 114/72 mmHg。呼吸数 20/分。SpO₂ 95 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。咽頭に異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺腫を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。左肋骨脊柱角に叩打痛を認める。四肢に浮腫を認めない。
検査所見 : 尿所見:黄色で混濁、蛋白(±)、糖:(-)、潜血1+、沈渣に赤血球を認めず、白血球 100 以上/HPF。血液所見:赤血球 382 万、Hb 11.2 g/dL、Ht 33 %、白血球 10,100(桿状核好中球 17 %、分葉核好中球 55 %、好酸球2%、好塩基球 0%、単球 10 %、リンパ球 16 %)、血小板 15 万。血液生化学所見:総蛋白 7.5 g/dL、アルブミン 3.2 g/dL、総ビリルビン 0.7 mg/dL、AST 19 U/L、ALT 9 U/L、LD 220 U/L :基準 (120〜245)、ALP 336 U/L (基準 115〜359)、γ-GT 36 U/L (基準8〜50)、尿素窒素 15 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、血糖 120 mg/dL、Na 137 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 100 mEq/L。CRP 14 mg/dL。
この患者の診察にあたり必要な感染予防策はどれか。
a. 標準予防策
b. 空気感染予防策
c. 接触感染予防策
d. 飛沫感染予防策
e. 診察に用いたディスポーザブル物品の焼却
標準予防策は基本の一手。
尿培養とともにさらに培養のために採取すべき検体はどれか。
a. 咽頭粘液
b. 血液
c. 脳脊髄液
d. 鼻腔ぬぐい液
e. 便
腎盂腎炎の症例。
腎盂と腎動静脈が解剖学的に接しているため、敗血症に移行しやすい。血液培養をしっかりとりましょう。