問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
36歳の男性について救急車から現場対応の指示を求められた。7月の暑い日の午後1時頃、昼食後に屋外清掃作業に従事していたところ、突然呼吸困難を訴えたため同僚が救急車を要請した。
現場到着後、救急救命士が診察にあたったところ、意識レベルはJCSⅠ-2。体温 37.5 ℃。脈拍 114/分、整。血圧 70/42 mmHg。呼吸数 36/分。SpO₂ 80% (リザーバー付マスク 10L/分酸素投与下)。外傷は認めない。顔面は蒼白で口唇に高度の浮腫を認める。頸静脈の怒張を認めない。心音に異常を認めず、心電図上でも頻脈以外の異常を認めない。喘鳴聴取。顔面部、胸腹部、背部および四肢の皮膚に膨疹が多発していた。既往に食物アレルギーを指摘されたことがあり、医師から自己注射薬の処方を受けているという。
救急救命士に口頭指示すべき処置はどれか。
a. 気管挿管
b. クーリング
c. アドレナリンの筋肉注射
d. 気管支拡張薬の静脈投与
e. 自動体外式除細動器の使用
アナフィラキシーショックの症例。
アドレナリンの筋肉注射はアナフィラキシーの標準治療であり、症状の進行を速やかに止めることができる。アドレナリンは血管収縮、気管支拡張、強心作用がある。