68歳の男性。背部痛を主訴に来院した。3か月前に肝転移を伴う膵尾部癌と診断されたが、治療の希望がなく通院していなかった。1か月前から背部痛が出現し、2週間前から徐々に増悪するため受診した。背部痛は鈍痛で終日持続し眠れないこともあった。そのため1日の大半を家で横になって生活し、粥食を少量ずつ食べているが、体重は1か月で2kg減少した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。飲酒は日本酒1合/日を40年間。一人暮らしである。

身長 168cm、体重 48kg。脈拍 72/分、整。血圧 126/60 mmHg。呼吸数14/分。上腹部正中に径10cmの辺縁不整な腫瘤を触知する。腸雑音は減弱している。

血液所見:赤血球 334万、Hb 10.8 g/dL、Ht 31%、白血球 9,800、血小板 14万。血液生化学所見:総蛋白 5.6 g/dL、アルブミン 2.8 g/dL、総ビリルビン 2.4 mg/dL、AST 134 U/L、ALT 140 U/L、γ-GT 124 U/L(基準 8~50)、尿素窒素 19 mg/dL、クレアチニン 0.4 mg/dL、CEA 16.4 ng/mL(基準 5以下)、CA19-9 580 U/mL(基準 37以下)。本人はなるべく自宅で生活したいと希望している。

今後の鎮痛薬による疼痛管理で適切なのはどれか。

a. 貼付薬は使用できない。

b. 疼痛時にのみ投与する。

c. 注射薬から投与を開始する。

d. 鎮痛状況により投与量の調節を行う。

e. レスキューは長時間作用性の薬剤を用いる。

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)