21歳の女性。発熱と咽頭痛を主訴に来院した。

現病歴:2日前に咽頭痛と37℃台の発熱が出現し、昨晩は38.6℃であった。市販の解熱鎮痛薬を内服し、今朝は37.6℃に下がったが、咽頭痛は悪化している。鼻汁、咳、痰はない。嚥下時に咽頭痛は増悪するが、嚥下障害はない。同様の症状の患者との接触はない。

既往歴:3年前にA群β溶血性連鎖球菌(A群β溶連菌)性咽頭炎を発症。月経痛に対してアセトアミノフェンを頓用している。

生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。大学3年生で就職活動をしている。ペットは飼育していない。海外渡航歴はない。アレルギー歴はない。家族と同居している。最終月経は7日前から4日間で終了した。

家族歴:父は高血圧症。母と弟は健康。

現症:意識は清明。身長 156 cm、体重 52 kg。体温 38.2 ℃。脈拍 96/分、整。血圧 108/62 mmHg。呼吸数 20/分。四肢・体幹に皮疹を認めない。両側扁桃の発赤と腫大があり、表面に白苔を認める。両側の後頸部に最大径1cmの圧痛を伴うリンパ節腫大をそれぞれ3個認める。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を3cm、左肋骨弓下に脾を 3cm触知する。肋骨脊柱角叩打痛は両側で認めない。

検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球 410万、Hb 11.6 g/dL、Ht 39%、白血球 17,400(好中球 44%、好酸球 1%、単球 3%、リンパ球 42%、異型リンパ球 10%)、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 7.0 g/dL、アルブミン 4.2 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、AST 62 U/L、ALT 94 U/L、LD 785U/L(基準 120~245)、ALP 100 U/L(基準 38~113)、尿素窒素 24 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL。CRP 3.5 mg/dL。


「発熱」「前頸部リンパ節腫大」「口蓋扁桃の白苔」「咳がない」の4項目について、該当項目数に応じた A 群 β 溶連菌性咽頭炎の事前確率を表に示す。

A群β溶連菌迅速抗原検査は陰性であった。A群β溶連菌迅速抗原検査の陽性尤度比30、陰性尤度比0.2とすると、この患者におけるA群β溶連菌性咽頭炎の事後確率はどれか。

a. 10%

b. 25%

c. 40%

d. 50%

e. 75%


初診時に提出した検体の抗EBV VCA IgM抗体は陽性であった。

この患者で他者への感染源となる可能性が高いのはどれか。

a. 尿

b. 汗

c. 唾液

d. 糞便

e. 血液

解答を見る
問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)