68歳の男性。動悸を主訴に来院した。

現病歴:2日前の朝、起床時から動悸に気づいた。動悸は脈が飛ぶような感じで、胸痛、失神、息切れはない。様子を見ていたが動悸が続くため救急外来を受診した。半年前と2か月前にも同様の動悸発作があり、半日で自然に軽快した。

既往歴:15年前から高血圧症、糖尿病、脂質異常症で、かかりつけ医から降圧薬と血糖降下薬などを処方されている。整形外科医院から骨粗鬆症治療薬を処方されている。

アレルギー歴:特記すべきことはない。

生活歴:20代から1日20本喫煙していたが、15年前に禁煙した。飲酒は毎日泡盛を3~5合。妻と二人暮らし。

家族歴:兄は脳梗塞で死亡。

現症:意識は清明。身長 168cm、体重 69kg。体温 36.1℃。脈拍 120/分、不整。血圧 170/96mmHg。呼吸数 14/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めず眼球結膜に黄染を認めない。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺腫大を認めない。脈拍は不整、心雑音は聴取しない。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。神経診察で異常を認めない。

検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖2+、ケトン体(−)、潜血(−)、血液所見:赤血球 523万、Hb 16.9 g/dL、Ht 50%、白血球 9,900、血小板 16万、PT-INR 1.0(基準 0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白 7.5 g/dL、アルブミン 3.9 g/dL、AST 26 U/L、ALT 19 U/L、LD 218 U/L(基準 120~245)、ALP 71U/L(基準 38~113)、γ-GT 132 U/L(基準 8~50)、尿素窒素 20 mg/dL、クレアチニン 1.1 mg/dL、尿酸 6.1 mg/dL、血糖 276 mg/dL、HbA1c 7.8%(基準 4.6~6.2)、総コレステロール 203 mg/dL、トリグリセリド 279 mg/dL、HDLコレステロール 60 mg/dL、LDLコレステロール 87 mg/dL、Na 139 mEq/L、K 4.7 mEq/L、Cl 103 mEq/L、TSH 1.6 μU/mL(基準 0.2~4.0)、FT4 1.1 ng/dL(基準 0.8~2.2)。心電図と胸部エックス線写真正面像と胸部エックス線写真側面像を別に示す。


経過観察したところ、自然に洞調律に戻った。心エコー図では心機能は正常で左房は軽度拡大し、弁膜症は認めなかった。心原性塞栓症のリスクを CHADS2 スコアで評価することにした。

この患者のCHADS2スコアはどれか。

a. 1点

b. 2点

c. 3点

d. 4点

e. 5点


抗凝固薬について説明したところ、同席していた妻が「この人、薬はあまり飲まないんですよ」と申し出た。本人に確認すると「1か月分処方されても半分くらいの薬が余ってしまう」という。

服薬アドヒアランスを低下させる要因を述べた患者の言動で薬の一包化が有効なのはどれか。

a. 「朝飯は食べないことが多いから、つい飲まないんです」

b. 「知り合いが血圧の薬を飲んで脳出血になったから怖いです」

c. 「薬代が高いから、なるべく飲まないで長持ちさせてるんです」

d. 「飲む薬が沢山あって、どれを飲んだか分からなくなるんです」

e. 「年取ったら血圧は下げすぎないほうが良いって新聞で読んだんです」

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)