72 歳の女性。動悸と息切れを主訴に来院した。 3 週間前から動悸を自覚していたが、 1 週間前から短距離の歩行で息切れを自覚するようになった。一昨日から夜間就寝後に息苦しさで覚醒するようになったため受診した。15 年前から僧帽弁閉鎖不全症、10 年前から高血圧を指摘されており、自宅近くの診療所で投薬治療を受けている。

来院時、意識は清明。身長 153 cm、体重 39 kg。脈拍 136/分、不整。 血圧 152/88 mmHg。SpO₂ 85 %(room air)。 心音は心尖部を最強点とするLevine 3/6 の収縮期雑音を聴取する。呼吸音は両側下肺野で coarse crackles を聴取する。腹部に異常を認めない。両下腿に浮腫を認める。

血液所見:Hb 12.2 g/dL、Ht 38 %、 白血球 7,800、血小板 21 万。 血液生化学所見: アルブミン 3.3 g/dL、AST 24 U/L、ALT 18 U/L、CK 72 U/L(基準 30~140)、尿素窒素14 mg/dL、クレアチニン 1.2 mg/dL、血糖 110 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 3.9 mEq/dL、脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉588 pg/mL(基準 18.4 以下)、心筋トロポニン T 0.02 ng/mL(基準 0.01 以下)。CRP 1.8 mg/dL。12 誘導心電図と胸部エックス線写真を別に示す。心エコー検査では僧帽弁逸脱による中等症の僧帽弁閉鎖不全症を認め、左室駆出率は 68 %であった。

この患者で誤っているのはどれか。

a. 抗凝固療法の適応がある。

b. 左室駆出率は正常範囲である。

c. 肺動脈楔入圧は低下している。

d. 甲状腺機能の評価が必要である。

e. 来院時に認めた不整脈は労作時息切れの一因である。

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)