問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
53 歳の男性。胸痛と悪心を主訴に救急車で搬入された。本日午前 4 時から胸痛と悪心が出現した。午前 8 時ごろまで我慢していたが、症状が改善しないため救急車を要請した。15 年前から糖尿病、脂質異常症で自宅近くの診療所に通院している。喫煙は 10 本/日を 33 年間。
身長 168 cm、体重 75 kg。心拍数 72/分、整。血圧 126/60 mmHg。呼吸数 14/分。SpO₂ 98 %(リザーバー付マスク 10 L/分 酸素投与下)。心音と呼吸音とに異常を認めない。
来院時の 12 誘導心電図で、前胸部誘導に ST 上昇を認めた。経胸壁心エコー検査で前壁中隔の壁運動低下を認め、左室駆出率は 40 % であった。心筋トロポニン T 迅速検査が陽性で急性前壁梗塞と診断した。緊急冠動脈造影で左前下行枝に完全閉塞、左回旋枝に 50 % の狭窄を認めたため、引き続き経皮的冠動脈形成術が行われ、左前下行枝にステントを留置した。血清 CK の最高値は、2,230 U/L(発症 8 時間後)(基準 30~140)であった。
今後の心臓リハビリテーションの説明で適切なのはどれか。 2 つ選べ。
a. 「食事やお薬についても勉強していきましょう」
b. 「リハビリは左回旋枝の治療が終了してから開始します」
c. 「治療後 2 週間はベッド上の安静臥床を守る必要があります」
d. 「心拍数が 130/分程度に増加する負荷をかけていきましょう」
e. 「胸痛や息切れが出現するようであればリハビリの強度を上げません」