この患者に認められる可能性が高い所見はどれか。
a. 多 尿
b. テタニー
c. Barré 徴候
d. Trousseau 徴候
e. 固定姿勢保持困難〈asterixis〉
この患者の検査所見では、高カルシウム血症(血清カルシウム値13.6 mg/dL)が認められます。高カルシウム血症は様々な症状を引き起こす可能性がありますが、以下の選択肢の中で高カルシウム血症に関連する可能性が高い所見を選ぶ必要があります。
各選択肢について説明します:
- **a. 多尿**:高カルシウム血症は腎臓に影響を与え、多尿を引き起こす可能性があります。高カルシウム血症に伴うカルシウムの利尿作用により、多尿が認められることがあります。
- **b. テタニー**:テタニーは低カルシウム血症に関連する症状であり、高カルシウム血症では通常認められません。
- **c. Barré 徴候**:Barré徴候は片側性の筋力低下を示すもので、一般的には神経系の問題を示唆しますが、高カルシウム血症とは直接関係ありません。
- **d. Trousseau 徴候**:Trousseau徴候はテタニーの一種であり、低カルシウム血症に関連する徴候です。
- **e. 固定姿勢保持困難(asterixis)**:固定姿勢保持困難(asterixis)は肝性脳症や他の代謝性脳症に関連する症状であり、高カルシウム血症とは直接関係がありません。
以上の理由から、高カルシウム血症に関連する可能性が高い所見は「a. 多尿」です。
初期治療に用いるべきものはどれか。
a. 生理食塩液
b. 点滴用蒸留水
c. 50 % ブドウ糖液
d. 炭酸水素ナトリウム液
e. グルコン酸カルシウム液
この患者の主要な問題は、高カルシウム血症(血清カルシウム値13.6 mg/dL)です。高カルシウム血症は、意識障害、食欲不振、倦怠感などの症状を引き起こします。治療の目標は、血清カルシウム濃度を迅速に低下させることです。
高カルシウム血症の初期治療として適切なのは「a. 生理食塩液」です。
理由としては以下の通りです:
- **生理食塩液(a.)**:高カルシウム血症の初期治療として最も重要なのは、水分補給とカルシウムの排泄を促進することです。生理食塩液の静脈内投与は、尿量を増加させることにより、カルシウムの排泄を促進します。さらに、脱水を防ぐためにも重要です。
他の選択肢について:
- **点滴用蒸留水(b.)**:蒸留水の点滴は不適切であり、体内の電解質バランスを崩す可能性があります。
- **50 % ブドウ糖液(c.)**:高カルシウム血症の治療には直接的に役立ちません。
- **炭酸水素ナトリウム液(d.)**:代謝性アシドーシスの治療に使用されますが、高カルシウム血症の初期治療には適していません。
- **グルコン酸カルシウム液(e.)**:カルシウム補充のために使用されるものであり、高カルシウム血症の治療には逆効果です。
したがって、この患者の初期治療に用いるべきものは「a. 生理食塩液」です。