a. 心筋炎
b. 肺胞出血
c. 後腹膜線維症
d. 自己免疫性肝炎
e. 急速進行性糸球体腎炎
この72歳の男性は、1か月前からの咳嗽、体重減少、食思不振があり、検査所見で肺底部のfine crackles、尿所見で蛋白尿、潜血を認め、MPO-ANCAが高値となっています。MPO-ANCAの陽性は、特に血管炎を示唆し、特に**顕微鏡的多発血管炎(MPA)**の診断に合致します。この疾患では、肺と腎臓を含む多臓器に影響を及ぼす可能性があり、典型的な症状として肺胞出血や急速進行性糸球体腎炎が発症することが知られています。
考えられる病態は以下の2つです:
1. **b. 肺胞出血**:
- MPO-ANCA関連血管炎では、肺胞出血が合併症として発症することがあり、咳嗽や呼吸困難、場合によっては血痰を伴います。
- この患者は、両側肺底部のfine cracklesを聴取しているため、肺の病変がある可能性が高いです。
2. **e. 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)**:
- MPO-ANCA関連血管炎は、急速進行性糸球体腎炎を引き起こすことで知られています。この患者の尿所見では蛋白尿と潜血が確認されており、腎障害が進行している可能性が高いです。
- 腎機能障害を示すクレアチニンの上昇(1.3 mg/dL)も見られ、RPGNの発症が示唆されます。
他の選択肢について:
- **a. 心筋炎**:MPO-ANCA関連血管炎では心筋炎は一般的ではありません。
- **c. 後腹膜線維症**:これは稀な疾患であり、この患者の臨床像とは一致しません。
- **d. 自己免疫性肝炎**:肝機能検査は正常範囲内であり、自己免疫性肝炎の診断は支持されません。
したがって、この患者で発生しやすい病態は **b. 肺胞出血** と **e. 急速進行性糸球体腎炎** です。