問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
a. 両側握力低下
b. 両側腓腹筋萎縮
c. 両側下肢振動覚低下
d. 両側アキレス腱反射消失
e. 両側上腕二頭筋腱反射消失
この患者は、5年前に2型糖尿病と診断され、現在は両足底の痛みを訴えています。特に入眠時に足底に針で刺すような痛みを感じていることから、糖尿病性神経障害(特に末梢神経障害)が強く疑われます。糖尿病性神経障害は、糖尿病患者に一般的に見られる合併症で、感覚神経障害や自律神経障害が出現することがあります。
糖尿病性神経障害に関連して高頻度で見られる所見は以下の2つです:
1. **c. 両側下肢振動覚低下**:
- 糖尿病性末梢神経障害では、感覚神経が最初に影響を受けることが多く、特に振動覚や位置覚が低下することが知られています。振動覚の低下は、下肢の遠位部で特に顕著です。
2. **d. 両側アキレス腱反射消失**:
- 糖尿病性末梢神経障害により、アキレス腱反射が消失することがあります。これは特に末梢神経の障害が進行した場合に見られる所見です。
他の選択肢について:
- **a. 両側握力低下**:糖尿病性神経障害では感覚神経が主に影響を受けるため、握力低下は典型的ではありません。
- **b. 両側腓腹筋萎縮**:筋萎縮は末期の糖尿病性神経障害で見られることもありますが、初期段階ではまれです。
- **e. 両側上腕二頭筋腱反射消失**:上肢における神経障害は糖尿病性神経障害の初期には通常見られません。糖尿病性神経障害はまず下肢に影響を与えます。
したがって、認められる可能性の高い所見は **c. 両側下肢振動覚低下** と **d. 両側アキレス腱反射消失** です。