A さん(55 歳、男性)。胃癌のため胃全摘出術を受けた。術中の出血量は 300 mLで、輸血は行われなかった。既往歴に特記すべきことはない。入院時身長 166 cm、体重 78 kg。手術後1日、硬膜外持続鎮痛法が行われているが、A さんは創部痛が強いため呼吸が浅く、離床はできていない。このときのバイタルサインは、体温37.1 ℃、呼吸数 22/分、脈拍 120/分、血圧 162/90 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)93 %(鼻カニューラL/分 酸素投与下)。Hb 13.8 g/dL。尿量 60 mL/時。意識清明、心音および呼吸音に異常なし。頸静脈怒張なし。下肢に浮腫なし。創部に熱感や発赤を認めない。腹腔ドレーンからは少量の淡血性排液があるが、膿性ではなく、異臭もない。
このときの A さんのアセスメントで適切なのはどれか。
1. 貧血のため脈拍が速い。
2. 疼痛のため血圧が高い。
3. 創部感染のため体温が高い。
4. 心不全のため呼吸数が多い。
手術後5日から A さんの食事が開始された。A さんは食事の後に、めまい、顔面紅潮、動悸、下腹部痛を伴う下痢が出現し、冷汗がみられるようになった。
現状で最も考えられるのはどれか。
1. 術後せん妄
2. 乳糖不耐症
3. 偽膜性大腸炎
4. ダンピング症候群
手術後 14 日、A さんは食後に出現していた症状が落ち着き、退院が決まった。
A さんへの退院指導の内容で適切なのはどれか。
1. 1回の食事量を増やす。
2. 海草を積極的に摂取する。
3. 食後の冷汗が出現した際には身体を温める。
4. 空腹時はコーヒーなどの刺激物の摂取を避ける。