A さん(29 歳、初産婦)は、妊娠 37 週 0 日で 2,780 g の男児を正常分娩で出産した。出生後5分の児の状態は、心拍数 150/分、四肢を屈曲させて 泣している。顔面を清拭されると激しく啼泣し、全身はピンク色である。
このときの児の Apgar<アプガー>スコアは何点か。
1. 10 点
2. 8 点
3. 6 点
4. 4 点
Apgarスコアは新生児の一般的な健康状態を評価するために用いられるスコアリングシステムで、次の5つのカテゴリーから点数を付けます:心拍数、呼吸努力、筋肉の緊張、反射刺激への反応、皮膚の色。
児の状態から各カテゴリーに点数を割り当てます:
心拍数: 150/分 → 2点 (心拍が存在すれば2点)
呼吸努力: 泣いている → 2点 (良好な泣き声は活発な呼吸の兆候)
筋肉の緊張: 四肢を屈曲させている → 2点 (正常な屈曲)
反射刺激への反応: 顔面を清拭されると激しく啼泣 → 2点 (良好な反応)
皮膚の色: 全身はピンク色 → 2点 (完全にピンクであれば2点)
これらの点数を合計すると、Apgarスコアは10点となります。このスコアは新生児が良好な状態であることを示しています。
出生後1時間。児の状態は、直腸温 37.0 ℃、呼吸数 40/分、心拍数 120/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO₂>96 %(room air)、四肢冷感やチアノーゼを認めない。
哺乳は開始していない。A さんの経過は順調である。
このときの児への看護で適切なのはどれか。
1. ビタミン K2 シロップを経口投与する。
2. 風通しの良いところに児を寝かせる。
3. 先天性代謝異常検査を行う。
4. 早期母子接触を行う。
新生児への適切な看護として、**早期母子接触を行う**が推奨されます。これは、出生直後の新生児が母親の肌と直接接触することで、親子の絆を強化し、新生児の体温調節や免疫力の向上に役立つためです。この時期は、母乳の分泌を促進し、新生児の安定にも寄与します。また、心拍数や呼吸の安定にも効果があり、母親のリラクゼーションにもつながります。
ビタミンK2シロップの投与は出生直後に行われることが一般的で、この時点での提案としては不適切です。風通しの良い場所に寝かせることは、一般的な環境設定の一部として重要ですが、この状況では特に指示する必要はなく、先天性代謝異常検査は生後数日を過ぎてから行われることが一般的です。したがって、この場合の適切な選択肢は**4. 早期母子接触を行う**です。
産褥4日。A さんは、血圧 112/80 mmHg、脈拍 76/分、Hb 11.2 g/dL、Ht 37.0%。子宮底を臍下4横指に硬く触れる。悪露は赤褐色で少量。凝血の混入や悪臭はない。乳房は緊満しており移行乳が分泌している。A さんは「夜中も3時間ごとくらいに授乳をするためほとんど眠れていません」と話している。表情は穏やかである。
A さんのアセスメントとして適切なのはどれか。
1. 貧血である。
2. 産後うつ病である。
3. 子宮復古は順調である。
4. 乳汁分泌が遅れている。
Aさんの情報から適切なアセスメントを選択すると、「3. 子宮復古は順調である」が最も妥当です。産後4日で子宮底が臍下4横指に触れるのは一般的に順調な子宮復古の兆候です。子宮が硬く、臍下に位置することは正常な回復を示しています。悪露も赤褐色で少量であり、凝血や悪臭がないことからも合併症の兆しは見られません。