A さん(47 歳、女性、会社員)は、夫(54 歳)と2人暮らし。6か月前から月経不順になり、閉経前の症状と思い様子をみていた。しかし、徐々に普段の月経時の出血量よりも多くなり、下腹部痛が出現してきたため、病院の婦人科外来を受診した。診察後、経腟超音波検査の指示が出され、看護師は A さんに検査について説明することになった。
A さんへの経腟超音波検査の説明で正しいのはどれか。
1. 検査が終了するまで絶飲食にする。
2. 検査前に排尿するよう促す。
3. 検査は側臥位で行う。
4. 検査後1時間は安静にする。
経腟超音波検査は、女性の子宮や卵巣などの内部構造を詳しく調べるための検査です。この検査において、特に必要とされるのは「2. 検査前に排尿するよう促す」です。排尿によって膀胱が空になり、子宮や卵巣などの骨盤内臓器が超音波検査でより鮮明に観察できるようになります。経腟超音波検査は通常、患者が背臥位(仰向け)で行われ、特別な準備として排尿を促されることが一般的です。
A さんは、経腟超音波検査で異常所見が認められ、その後の精密検査で子宮体癌と診断されて準広汎子宮全摘出術と両側付属器(卵巣、卵管)切除術を受けた。術後の経過はよく、排尿障害もなく順調に回復していた。術後 12 日目のバイタルサイン測定時に「身体のほてりがあり、急に汗が出るようになったりして、夜もよく眠れません。そのためかイライラします」と看護師に訴えた。
A さんに出現している症状の原因はどれか。
1. エストロゲンの減少
2. プロラクチンの減少
3. アンドロゲンの増加
4. オキシトシンの増加
5. プロゲステロンの増加
Aさんが経験している身体のほてり、急な汗の発生、睡眠障害、イライラといった症状は、閉経期によく見られる更年期障害の特徴的な症状です。これらの症状は主に「1. エストロゲンの減少」によって引き起こされます。Aさんは子宮体癌の診断を受け、準広汎子宮全摘出術と両側付属器(卵巣、卵管)切除術を受けました。卵巣はエストロゲンをはじめとする女性ホルモンの主要な生産源であり、その摘出によりエストロゲンの急激な減少が起こり、更年期障害の症状が現れやすくなります。
A さんはその後、順調に経過し退院した。退院後、初回の外来受診時に看護師が A さんに心配なことを尋ねると「退院のときも性生活の説明を聞きましたが、子宮がなくなって自分の身体がどう変化しているかわからないし、やっぱり性生活のことが気がかりです。夫も私の身体を気遣ってくれて、今日も一緒に病院に来てくれました」と語った。
A さんへの性生活の説明で適切なのはどれか。
1. 術後1年までは性行為を控える。
2. 夫と別々に説明することを提案する。
3. 性行為再開後は避妊を続けてもらう。
4. 腟の乾燥に対して潤滑ゼリーを用いるとよい。
「腟の乾燥に対して潤滑ゼリーを用いるとよい」は、子宮摘出術後に経験される可能性のある一般的な問題である腟の乾燥への具体的な対処法を提供します。子宮摘出術は直接的に腟の乾燥を引き起こすものではありませんが、手術によるホルモンバランスの変化や身体の回復過程で腟の乾燥を経験する女性もいます。潤滑ゼリーの使用は、このような状況での性行為を快適にするための実用的なアドバイスです。