A ちゃん(生後 3 週)は、在胎 40 週、3,070 g で出生した。生後5日で退院し、退院時の体重は 3,080 g であった。完全母乳栄養である。
現病歴:5日前から嘔吐があり、次第に哺乳のたびに噴水状に嘔吐するようになった。今朝も嘔吐があり、吐物は白色である。排尿もないため家族に連れられ来院した。A ちゃんは肥厚性幽門狭窄症が疑われ入院した。
身体所見:体重 3,380 g、体温 36.7 ℃。脈拍 120/分、整。血圧 74/52 mmHg。大泉門は陥凹、皮膚のツルゴールは低下、上腹部は軽度膨隆。
検査所見:白血球 9,600/μL。Na 131 mEq/L、K 3.4 mEq/L、Cl 86 mEq/L、CRP0.1 mg/dL。
A ちゃんの状態のアセスメントで正しいのはどれか。
1. 脱水症は軽度である。
2. 非胆汁性嘔吐である。
3. 炎症反応の上昇がある。
4. 出生後の体重増加は良好である。
嘔吐が白色であり、胆汁(黄緑色)が含まれていないことから、非胆汁性嘔吐と判断できます。非胆汁性嘔吐は、肥厚性幽門狭窄症などの消化管の閉塞性障害に特徴的な症状であり、この場合、噴水状の嘔吐が見られることが一般的です。
検査の結果、A ちゃんは肥厚性幽門狭窄症と診断された。A ちゃんは直ちに絶飲食となり、経鼻胃管が留置され、持続点滴静脈内注射が開始された。担当医師と家族とが治療方針を話し合った結果、全身状態が安定したあとに手術をする方針になった。
A ちゃんの術前看護で正しいのはどれか。
1. 浣腸を 1 日 2 回行う。
2. 尿量の測定は不要である。
3. 経鼻胃管は自然開放とする。
4. A ちゃんを抱っこすることは禁忌である。
「経鼻胃管は自然開放とする」は、肥厚性幽門狭窄症において嘔吐を減少させ、胃内容物を排出するための適切な処置です。経鼻胃管を通じて胃内の圧力を減少させることで、嘔吐を抑え、手術前の患者の快適性を向上させることができます。
入院後 3 日。A ちゃんは全身状態が安定し、全身麻酔下で腹腔鏡を用いた粘膜外幽門筋切開術(Ramstedt<ラムステッド>手術)を受けた。
術後の看護で適切なのはどれか。
1. 授乳前後の排気
2. 人工乳への変更
3. 予防接種の計画立案
4. 腸管の縫合不全の観察
粘膜外幽門筋切開術(Ramstedt手術)を受けた乳児の術後看護では、手術によって幽門の狭窄が解消され、胃から小腸への食物の移動が改善されます。しかし、乳児特有の消化系の成熟と手術後の調整期間を考慮する必要があります。この時期には、授乳前後の排気(ゲップをさせること)は、飲み込んだ空気を外に出し、腹部の不快感や過剰なガスの蓄積を防ぐために重要です。特に手術後は、胃や腸の正常な機能が回復するまで、ガス蓄積による不快感を最小限に抑えることが患者の快適性に寄与します。
したがって、選択肢の中で術後の看護で適切なのは「1. 授乳前後の排気」です。これにより、Aちゃんが快適に回復し、授乳時の不快感や嘔吐リスクを減少させることができます。