A ちゃん(5か月、女児)は、父親(会社員)、母親(主婦)、兄の B 君(3歳)と4人家族である。近所に祖父母が住んでいる。A ちゃんは3日前から鼻汁と咳嗽があり、昨日夕方より 39 ℃の発熱がみられ小児科外来を受診した。自宅で哺乳量の低下はなく、1日に1、2回咳嗽とともに嘔吐がみられていた。来院時、体温 39.3 ℃、呼吸数 45/分、脈拍 142/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO₂>98 %(room air)であった。診察と検査の結果、RS ウイルスによる急性細気管支炎と診断され、去痰薬が処方された。
診察後、家庭でのケアについて A ちゃんの母親に指導することになった。 看護師の指導で適切なのはどれか。
1. 「1回に飲むミルクの量を多くしてください」
2. 「哺乳前に鼻水を器具で吸引してあげてください」
3. 「去痰薬は、ミルクを飲んだ後に飲ませてください」
4. 「授乳後は仰向けで寝かせてください」
RSウイルスによる急性細気管支炎の診断を受けたAちゃんに対する家庭でのケアにおいては、症状を軽減し、快適性を保つことが重要です。選択肢の中で看護師の指導として適切なのは、「2. 哺乳前に鼻水を器具で吸引してあげてください」です。発熱や上気道の症状がある乳児では、鼻詰まりが哺乳や呼吸に影響を与えることがあります。鼻水を哺乳前に吸引することで、呼吸が楽になり、飲みやすくなるため、栄養状態の維持に役立ちます。
A ちゃんは、発熱が続き、哺乳量が減ってきたため 2 日後に再度来院した。来院時、体温 39.4 ℃、呼吸数 60/分、脈拍 154/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO₂>92 %(room air)、口唇色と顔色はやや不良であった。胸部エックス線撮影で肺炎像は認められない。A ちゃんは、経口摂取不良と呼吸困難のため、母親が付き添って入院することとなった。酸素吸入と点滴静脈内注射が開始された。
入院前の A ちゃんについて母親から収集すべき情報で優先度が高いのはどれか。
1. 去痰薬の内服状況
2. 最終排尿の時間
3. 皮膚搔痒の有無
4. 排便の状況
Aちゃんの症状として、発熱、哺乳量の減少、呼吸数の増加、脈拍の増加、経皮的動脈血酸素飽和度の低下が報告されています。これらの症状は、脱水や呼吸困難のリスクを示唆しており、緊急度の高い対応が必要な状態です。
この文脈で入院前のAちゃんについて母親から収集すべき情報で優先度が高いのは「2. 最終排尿の時間」です。最終排尿の時間についての情報は、脱水の程度を評価するうえで重要な指標になります。特に乳幼児の場合、哺乳量の減少が報告されているときには、体液のバランスに注意を払う必要があり、脱水状態を早期に把握するためにも排尿に関する情報が重要となります。
入院後7日、A ちゃんは症状が軽快し、哺乳量も増加して翌日の金曜日に退院が決定した。母親は「A はだいぶ元気になりました。でも B が泣いたり、かんしゃくをおこしたりすることが増えているようです。どうしたらいいでしょう」と看護師に相談した。入院中、土曜日、日曜日は父親が B 君の世話をしており、平日は祖父母が世話をしているとのことであった。退院時、父親は休暇をとり A ちゃんと母親を迎えに来る予定である。
母親への看護師の対応として適切なのはどれか。
1. 「B 君のかかりつけ医に相談しましょう」
2. 「B 君の保育所への入所を検討しましょう」
3. 「B 君に関わる時間をたっぷりとりましょう」
4. 「お兄ちゃんだから頑張りなさいと伝えましょう」
Aちゃんの入院中にB君が泣いたり、かんしゃくを起こしたりすることが増えたという状況は、B君が家族構成の変化や注意がAちゃんに向けられることに対してストレスを感じている可能性があります。特にAちゃんの入院という事態は、家族の日常生活に大きな変化をもたらし、B君にとっては不安や孤独感を感じる原因になっているかもしれません。
この状況で母親への看護師の対応として最も適切なのは「3. B君に関わる時間をたっぷりとりましょう」です。B君が感じているかもしれない不安や孤独感に対処するためには、親からの愛情を感じる時間が重要です。親がB君と一緒に過ごす時間を増やし、愛情を示すことは、B君の感じるストレスを軽減し、家族全員でこの状況を乗り越えるための支援となります。