A さん(32 歳、男性)は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物依存症の治療を受けることができる精神科病院に入院し、治療プログラムに参加することになった。
入院時の A さんへの看護師の対応として適切なのはどれか。
1. 二度と使用しないと約束させる。
2. 回復が期待できる病気であることを伝える。
3. 使用をやめられなかったことに対する反省を促す。
4. 自分で薬物を断ち切る強い意志を持つように伝える。
覚醒剤依存症の治療において、患者さんが回復への道を歩み始める際には、支持的で前向きな姿勢が非常に重要です。依存症は、医学的に治療可能な病気であり、適切なサポートと治療があれば回復への道を進むことができます。
選択肢の中で、Aさんにとって最も建設的で前向きなアプローチは「2. 回復が期待できる病気であることを伝える」です。このアプローチは、Aさんに希望を与え、治療に対する動機付けを高めることができます。依存症の治療は、患者さんが病気と向き合い、長期的な回復を目指すプロセスであることを理解することが重要です。
入院 2 週後、A さんは病棟生活のルールを守ることができず、それを注意した看護師に対して攻撃的になることがあった。別の看護師が A さんに理由を尋ねると「指図するような話し方をされると、暴力的だった父親を思い出し、冷静でいられなくなる」と話した。
このとき A さんに起こっているのはどれか。
1. 転 移
2. 逆転移
3. 躁的防衛
4. 反動形成
転移は、過去の人間関係や経験が現在の人間関係に影響を与えることであり、特に治療の文脈では、患者が治療者や看護師など、現在の人に対して過去の重要な人物(この場合は父親)の特徴や感情を無意識に移し替える現象を指します。Aさんの場合、過去の経験が現在の看護師に対する彼の反応に影響を与えており、これは治療過程でよく見られることです。
入院後 1か月、A さんは「正直に言うと、今も覚せい剤を使いたいという気持ちがある。もし誘いがあったら、使いたい気持ちを抑えきれないだろう」と悩みを打ち明けた。
A さんの状態のアセスメントとして適切なのはどれか。
1. 否 認
2. 共依存
3. 身体依存
4. 精神依存
5. 離脱症状
精神依存は、薬物使用に対する強い心理的な欲求や渇望のことであり、身体的な依存よりも精神的、感情的な側面に焦点を当てています。薬物を使用することによる精神的な満足感や脱却困難な習慣となっている状態を指します。