A さん(82 歳、女性)は息子(57 歳、会社員)と息子の妻(55 歳、パート勤務)との3人暮らし。3年前に Alzheimer<アルツハイマー>型認知症と診断され、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱb、要介護2である。A さんの介護は、主に息子の妻が行っていた。A さんは、声かけがあれば日常生活動作<ADL>を自分で行うことができた。しかし、A さんは徐々に認知症が重度化し、1人で外出すると帰ってくることができなくなり、夜間に落ちつきなく動き回ることが多くなった。息子と息子の妻は A さんの介護について介護支援専門員に相談していたが、息子の妻は睡眠不足となり、体調を崩してしまった。そのため、A さんは介護老人保健施設に入所することになった。
看護師から A さんに施設について説明したが、その後も A さんは「ここはどこ」 と繰り返し聞いていた。息子の妻は「私がやらなければいけないことは何ですか」と 聞いてきた。 息子の妻に対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1. 「面会に来てください」
2. 「家族会に参加しましょう」
3. 「まずは休息をとりましょう」
4. 「認知症への対応を覚えましょう」
この選択肢は、息子の妻が体調を崩しているという現状に対応し、彼女の健康を最優先とするアプローチです。介護の負担が重く、特に睡眠不足により体調を崩すことは介護者のウェルビーイングに大きく影響します。まずは彼女自身が回復し、体力を取り戻すことが必要です。その上で、再び介護の問題に取り組むことが可能となります。
入所した日の夕方、A さんは自分の荷物をまとめて「夕食を作らなければいけないので、家に帰ります」と施設内を歩いている。
A さんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1. 「他の入所者と話をしましょう」
2. 「椅子に座ってお話ししませんか」
3. 「入所中なので家には帰れません」
4. 「歩くのは危ないのでやめましょう」
このアプローチでは、Aさんの不安や混乱を和らげるために、彼女を落ち着かせることを目指しています。彼女を椅子に誘導し、対話を通じて安心感を提供することで、彼女の注意を現実の問題からそらすことができます。これにより、施設に適応する手助けとなります。
入所して1週後。A さんは、朝、声をかけられてもなかなか目を覚まさない。午前中は看護師が他の入所者と交流することを目的に共有スペースに誘導するが、A さんは共有スペースの椅子に座ったまま眠ってしまい、レクリエーションへ誘われても参加はしない。夕方から夜間にかけて A さんは活動的となり、施設の廊下を歩き職員に話しかけている。
A さんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1. 朝の入浴を勧める。
2. 日中の散歩に誘う。
3. 朝は A さんが自分で起きるまで待つ。
4. 日中は椅子に座って過ごしてもらう。
この選択肢は、Aさんが日中に活動することで、その後のエネルギー準備と適切な睡眠リズムをサポートする可能性があります。散歩は適度な運動にもなり、認知症患者の気分転換にも役立ちます。これにより、夕方以降の行動が穏やかになるかもしれません。