問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
66 歳の女性。2週間前から息切れと動悸があり来院した。生来健康でこれまでに貧血を指摘されたことはなく、不正性器出血はない。
眼瞼結膜は強度貧血様である。眼球結膜に黄染を認める。肝を触知せず、脾を左季肋下に3cm 触知する。
尿所見:蛋白1+、ウロビリノゲン3+、潜血(-)、へモジデリン(-)。血液所見:赤血球 170 万、Hb 5.5 g/dL、Ht 17 %、網赤血球 15 %、白血球 7,200、血小板 26 万。血液生化学所見:総ビリルビン 3.2 mg/dL、直接ビリルビン 0.8 mg/dL、AST 20 U/L、ALT 18 U/L、LD 684 U/L (基準 176〜353)、ハプトグロビン 5 mg/dL 以下(基準 19〜170)、フェリチン 46 ng/mL(基準 20〜120)。
この患者の鑑別診断に有用な検査はどれか。
a. 骨髄検査
b. 血清鉄検査
c. Coombs 試験
d. 血清免疫電気泳動
e. 赤血球浸透圧抵抗試験
貧血、高い網赤血球比率、ウロビリノゲン増加、眼球結膜の黄染、脾腫、低ハプトグロビン値、LD高値。これらの所見は、溶血性貧血の存在を示唆する。
Coombs試験は、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断に用いられる検査で、赤血球に対する自己抗体の存在を検出する。Coombs試験はこの診断を確定するのに有用。