問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
76 歳の男性。繰り返す数秒間の意識消失のため救急車で搬入された。昨日の夕方に一過性の意識消失を自覚した。今朝から 30 分に1回程度の間隔で数秒間の意識消失を繰り返すため、家族が救急車を要請した。動悸を自覚するのとほぼ同時に意識消失するという。10 年前から高血圧症、うつ病、胃潰瘍および便秘症のためサイアザイド系降圧利尿薬、カルシウム拮抗薬、四環系抗うつ薬、ヒスタミン H2受容体拮抗薬、甘草を含む漢方薬および刺激性の下剤を内服している。モニター心電図で意識消失に一致する 10 秒程度の多形性心室頻拍を認め、このときは脈拍を触知しない。12 誘導心電図を別に示す。
治療方針の決定のため、まず行うべき検査はどれか。
a. 脳波
b. 頭部 CT
c. 起立試験
d. 血糖測定
e. 血清カリウム測定
薬の副作用の問題。薬剤性の低カリウム血症を考える。
サイアザイド系利尿薬と甘草による偽性アルドステロン症→低カリウム血症
刺激性の下剤(センノシドとか?)での低カリウム血症。
四環系抗うつ薬の副作用としてのQT延長も認める。
心電図上認める多形性心室頻拍はTorsade de Pointes: TdPのこと。QT延長で発生しやすく、低カリウム血症で惹起されやすい。