70歳の男性。腎機能低下のため来院した。20年前から健診で尿蛋白と尿潜血を指摘されている。5年前から腎機能低下を指摘された。2か月前の定期検査で腎機能がさらに低下していたため、腎代替療法の準備を勧められて受診した。55歳時に急性心筋梗塞の既往があり、左室収縮能の低下(左室駆出率 35 %)がある。アスピリン、アンジオテンシン変換酵素<ACE>阻害薬および β 遮断薬を内服している。61歳時に交通外傷で脾臓摘出と小腸部分切除を受け、その後癒着性イレウスで回開腹歴がある。65 歳から糖尿病を指摘されて経口糖尿病薬を服用している。
身長 160 cm、体重 80 kg。脈拍 72/分、整。血圧 120/86 mmHg。腹部は平坦、軟で、心窩部から臍下部にかけて手術痕がある。両下腿に浮腫を認める。認知機能は正常で、神経診察に異常を認めない。
尿所見:蛋白 3+、糖 (-) 、潜血 2+、沈渣で多彩な変形赤血球と顆粒円柱を認める。1日尿量 2,050 mL。血液所見:赤血球 358 万、Hb 10.5 g/dL、Ht 31 %、白血球 5,700、血小板 28 万。血液生化学所見:総蛋白 6.6 g/dL、アルブミン 3.5 g/dL、尿素窒素 50 mg/dL、クレアチニン 5.1 mg/dL、eGFR mL/分/1.73 m2、HbA1c 7.0 % (基準 4.6〜6.2)、Na 142 mEq/L、K 4.5 mEq/L、Cl 103 mEq/L。
腎代替療法についての説明で適切なのはどれか。
a. 「心臓が悪いので腹膜透析は適しません」
b. 「糖尿病があるので腹膜透析は適しません」
c. 「血液透析は尿が出なくなってから開始します」
d. 「アスピリンを服用しているので血液透析は適しません」
e. 「大きな腹部手術の既往があるので腹膜透析は適しません」