72 歳の男性。下腹部痛を主訴に来院した。
現病歴 : 10 年前から高血圧症で通院中であり、降圧薬による内服療法を受けている。1か月前から動悸を伴う心房細動が出現し、抗不整脈薬と抗凝固薬の処方も受けていた。昨日昼から尿が出ず、下腹部が張ってきていたが様子をみていた。今朝、下腹部の痛みで目覚め、症状が増悪するため受診した。
既往歴 : 特記すべきことはない。
生活歴 : 喫煙歴は 20 本/日を 40 年間。飲酒は日本酒1〜2合/日。
家族歴 : 父親が 68 歳時に胃癌で死亡。
現 症 : 意識は清明。身長 165 cm、体重 61 kg。体温 36.9 ℃。脈拍 52/分、不整。血圧 142/94 mmHg。呼吸数 18/分。SpO₂ 96 %(room air)。頸静脈の怒張を認めない。心尖部を最強点とするⅡ/Ⅵの収縮期雑音を認める。呼吸音に異常を認めない。腹部は下腹部が膨隆し、圧痛を認める。下腿浮腫は認めない。腹部超音波検査で膀胱容積は拡大しており、尿道カテーテルを一時的に留置することとした。
カテーテル留置で正しいのはどれか。
a. 挿入時は患者を側臥位にする。
b. 陰茎に潤滑剤を塗布した後に消毒を行う。
c. 陰茎は垂直方向に軽く引き上げるように保持する。
d. 蓄尿バックは膀胱と同じ高さの位置でベッド柵に固定する。
e. 挿入途中で抵抗が強い場合、その位置でバルーンを膨らませる。
外来での処置中、検査室から「パニック値が出ているので、検査結果を至急報告します」との連絡があった。
検査所見 : 尿所見:蛋白2+、糖(-)、潜血2+、沈渣は赤血球 30〜50/HPF、白血球1〜4/HPF、細菌(-)。血液所見:赤血球 450 万、Hb 13.2 g/dL、Ht 42%、白血球 8,200、血小板 24 万、PT-INR 1.9(基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.8 g/dL、AST 44 U/L、ALT 20 U/L、尿素窒素 68 mg/dL、クレアチニン 3.8 mg/dL、血糖 136 mg/dL、Na 134 mEq/L、K 7.2 mEq/L、Cl 106 mEq/L、Ca 8.4 mg/dL。CRP 1.2 mg/dL。
直ちに行うべき対応はどれか。
a. 腹部 CT
b. 心電図検査
c. 膀胱鏡検査
d. 動脈血ガス分析
e. 部位を変えての静脈採血
尿閉→腎後性腎不全→高カリウム である。
高カリウムによる心電図変化をみる必要あり。